大学紹介

鹿児島大学

【教育】離島へき地医療から国際的視野を

鹿児島大学 医学部 教務委員会医学科部会長 河野 嘉文

平成25年に創立70周年を迎えた鹿児島大学医学部医学科では、九州最南端に位置し、南北600kmの広範囲に28の有人離島を有する鹿児島県の特徴を生かした、独自の医学教育を実践してきました。医学生には生涯学び続けることの重要性を認識してもらい、医療人としての学びの場の多様性を感じてもらう教育を心がけております。入学当初から全学共通教育と併行して生命科学、患者と医療、研究開発基礎を学ぶことで医学生としての自覚を促し、科学的思考ができる医師・医学研究者の育成を目指しています。2年前期から3年前期にかけては各分野の研究室で研究を体験し、3年後期からは臨床系の講義とともにシャドウイングと称する臨床見学実習を取り入れています。基礎医学と臨床医学を統合して効率的に学びながら診療参加型臨床実習の準備をし、5年生では鹿児島県内の医療機関と連携したプログラムでStudent Doctorとしてプライマリ・ケアから先進医療まで幅広く修得し、6年前期には全員が離島・へき地での臨床実習を体験しています。また離島へき地医療人育成センターが開催する「離島へき地医療実習」は、全国の医学生・医療系学部学生にも開放し、実習の場を提供しつつ、本学学生の意欲の向上にも寄与しています。このような離島・へき地を利用した教育の充実と同時に、5年生夏から1年間マイアミ大学への留学ができるシステムを構築しています。さらに、6年生の臨床実習では、外国の医療施設での短期実習を認めています。以上のように、鹿児島大学医学部は医学を漠然と学ぶだけでなく、離島・へき地の医療を経験して理解し、国際的な視野を持ち、学び続ける医療人を育成するためのカリキュラムを構築しています。

【研究】地域医療からインターナショナルな仕事へ

鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 神経病学講座 
神経内科・老年病学分野 教授 髙嶋 博

鹿児島大学病院は九州の南端にあって多くの離島を抱えるため、地域に発生する様々な疾患を診療します。県内の多くの病院が鹿大とつながりがあり、神経内科では、診断困難または難治の症例が集まってきます。その診療は大変難しいものですが、当科には井形初代教授・納前教授から引き継いだ「患者の病を治すのが医の原点である。そして、原因のない病気はないので原因を見つける努力をしなさい」という教えがあります。そのため私たちの研究は患者さんとの出会いから始まり、その患者さんの真の病態を、これまで蓄えた研究手法を駆使して分析します。すなわちPatient-oriented researchです。通常、研究所などは主にDisease-oriented researchを行いますが、鹿児島大学には地の利を生かした研究がふさわしく、また成果が出やすいと考えており、遺伝子学・免疫学・組織学・分子生物学的な実験手法を駆使して問題の解決を図っています。新しい研究手法も積極的に取り入れ、早期から導入した次世代シークエンサーを使いこなすことで、様々な領域で次々とディスカバリーが出てきました。現在、当科の研究対象は、HAM(HTLV-I関連脊髄症)・筋疾患・ミトコンドリア病・遺伝性ニューロパチー・自己免疫性脳症など広範にわたりますが、それらは地域の患者の問題を解決する過程で出てきたものです。これまでにいくつかの病気の原因や病態を同定して治療法を開発し、その後に世界的な舞台への発展を見たものも多くあります。

私たちは、地域に根差したローカルな病気を研究すると同時に、その成果を世界的な研究にし、多くの人々に恩恵が広がるようにすることで、井形・納の掲げた“限りなくローカルなものを限りなくインターナショナルへ”という理念を、引き続き鹿児島の地で推進していきたいと思います。診療するにも研究するにも生活するにも、鹿児島はおすすめです。

【学生生活】豊かな環境のなかで医療の現場を学ぶ

鹿児島大学 医学部 6年 川上 翔平
同 6年 是枝 め衣

川上:鹿児島大学では、6年次の4~6月に1週間、県内の離島へき地で実習をすることになっています。僕たち2人はつい先日一緒に沖永良部島に行ってきたところで、診療所の外来や訪問診療、通所リハビリを見学しました。

是枝:その島の人たちがどのような暮らしをしていて、島の生活と医療がどういう風に結びついているかを見ることができました。実習の目的は離島医療の現状を見ることですが、それと同じくらい「その島の良い所を感じ取って楽しむ」のが重要なテーマです。島を散策していたら現地の人と仲良くなって、「今日、飲みに来い」と誘われてお家にお邪魔したり、「クルージングに連れてってやる」って漁船を出してもらったりしたこともありました。

川上:離島の医療を支える仕組みは今後もちろん必要だと思いますが、その前にまず島で暮らすことの良さをもっともっと知ってもらって、若い人が長く住んでいける環境を作ることが重要だと思います。

是枝:鹿児島の良い所は、まず何でも美味しいことですね。野菜・魚・肉、全部美味しいですし、焼酎も美味しいです。嫌なのは桜島から灰が降ることです。洗濯物が真っ黒になりますし、車のフロントガラスに灰が積もって洗車が1時間待ちなんてこともザラです。

川上:鹿児島は温厚・温和な人が多いです。助け合いの文化が強い土地柄なので、困ってる時にひと声かけてくれることが多いです。部活でも、先輩やOBの先生がしょっちゅう差し入れを持って来てくれたり、遊びにも連れていってくれます。そうして自分が先輩に面倒を見てもらった分は、後輩に返すようにしています。食べ物も美味しいし、人も良い。鹿児島は住みやすい所ですよ。

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