佐世保中央病院 臨床検査技術部(臨床検査技師)
丸田 秀夫さん

臨床検査技師の専門性

臨床検査技師は、医師の指示を受けて血液検査・尿検査・心電図検査などの臨床検査を行う専門職です。働く場所は健診センターや保健所など様々ですが、病院の「臨床検査室」にいることが多いそうです。今回は佐世保中央病院の臨床検査技師、丸田秀夫さんにお話を伺いました。

「私たちが行う検査の種類は多岐にわたり、血液検査・尿検査などの検体検査、心電図検査などの生体検査のほか、手術で切除した臓器の病態を確認する病理検査も行います。適切な処理で標本を作らなければ、適切な診断もできないので責任重大です。臨床検査は、診断をつけ、治療方針を決定し、治療効果を判断するために欠かせないものです。患者さんの病状を最初に察知できるのが、私たち臨床検査技師です。病気の早期診断や治療に直結した仕事であるところにやりがいを感じています。」

専門性を発揮する場面の広がり

臨床検査技師が専門性を発揮するのは、検査を行う場面だけではありません。検査結果の説明を臨床検査技師が行うことも近年増えつつあります。

「患者さんの中には、返ってきた検査結果を見て、一項目でも基準値を超えていたら、これはおかしい、自分は病気なんじゃないかと不安に思われる方もいます。医師は検査結果の見方をよく理解しています。だから、特に病気が示唆されるものでなければ、たとえ基準値から外れた数値がいくつかあっても『検査結果は大丈夫ですよ』と説明をすることもあると思います。

しかし、それでもやっぱり気になる、もっと詳しく知りたいという患者さんの気持ちに、検査のプロとして対応するというのも臨床検査技師の役割になってきています。」

変わりつつある「チーム医療」

制度改正によって、2015年から鼻腔・咽頭、体表、肛門部からの検体採取の一部も臨床検査技師が実施できるようになりました。また、制度改正で拡大した業務以外にも、チーム医療に臨床検査技師を組み込む動きが広がりつつあります。これまで慣例的に看護師が行うことが多かった病棟での採血などを臨床検査技師が行う病院も増えています。臨床検査技師が検体の採取を行うことで、検査に必要な量が不足したり、採血管の種類を間違えてしまったりするリスクが少なくなるそうです。

「近年、チーム医療の形は、医師の負担減のための分業だけではなく、それぞれの専門性を活かしてよりよい医療を提供しようという志向に変化してきていると感じます。私たちも、検体の向こうに患者さんがいることを忘れず、正確な情報を提供することでよりよい医療の提供に貢献していきたいです。」

 

※この記事は取材先の業務に即した内容となっていますので、施設や所属によって業務内容が異なる場合があります。