診療ガイドラインを活用しよう
診療ガイドラインって初めて聞きました。
お二人とも、残念ながら診療ガイドラインのことをあまり知らないみたいですね。
診療ガイドラインは、世界中で行われている最新の医学研究の成果(エビデンス)を横断的にレビューして、益と害のバランス、患者の希望・価値観、医療コスト等を考慮して、現時点での「推奨できる治療法」を提示するものです。お二人は、世界中で1年に何件くらいのエビデンスが出てきているか知っていますか?
見当もつかないです…。
世界で行われている臨床研究の数は、毎年2万件くらいになると言われています。一つの分野・疾患に絞っても、かなりの数のエビデンスが出てきています。そうなると臨床で働く医師が全ての論文を読み込むことなんて、到底できませんよね。ですから、第一線の医療者・研究者がチームを組んで、最新の研究成果に基づく「おすすめの治療」をガイドラインという形で提示しているんです。
そんな風に作られていたんですね。
診療ガイドラインにおいては、特に「益」と「害」のバランスが重視されています。
「益」と「害」のバランスって何ですか?
治療によって生じる、良い面と悪い面のことです。薬に効能があると同時に副作用もあるように、様々な治療法には「益」の側面と「害」の側面があります。
医師はどうしても「治したい」という気持ちが強いので、治療の「益」の部分を中心に考えてしまい、「害」への意識が不足しがちです。けれど患者さんにとっては、副作用をはじめとする「害」のことも気になりますよね。治療が始まってから「こんなはずではなかった」と感じることがないようにするためにも、医師が「益」と「害」の両方についてバランスよく説明し、納得していただいたうえで治療方針を決めることが大事なのです。
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