医療業界ニュース

「女性医師のキャリア支援」DVDを作成

~学会・勉強会・大学等での活用を~

日本医師会女性医師支援センターは2012年1月、女性医師のキャリア形成やライフスタイルのあり方を女子医学生・研修医・若手女性医師に伝えるためのDVDを作成した。学会・医師会などが主催する講習会や大学などで活用することを目的としている。

DVDでは講演や対談・インタビューを通して、ロールモデルとなる女性医師の働き方や、女性医師支援に携わる様々な立場の方々の考え方、取り組みを紹介している。具体的な内容は右の表の通り。全体を通して利用するのはもちろん、その講習会の内容に合った一部分を活用することもできる。

身近にロールモデルとなる女性医師がいない、女性医師のキャリアについて知りたい、という学生のみなさんにも、是非活用していただきたい。

【問い合わせ先】
TEL:03-3942-6512
FAX:03-3942-7397
https://www.med.or.jp/joseiishi/

地域医療の再構築を通じた、地域コミュニティ復活への貢献を

~平成23年度医療政策シンポジウム「災害医療と医師会」を開催~

日本医師会は、東日本大震災発災より1年が経った2012年3月11日、「災害医療と医師会」というテーマでシンポジウムを開催した。363名が参加し、発生時刻には出席者全員による黙祷が捧げられた。

講演の内容は、日本医師会災害医療チーム(JMAT)の活動報告や、世界での災害対応紹介、公衆衛生の重要性の指摘、災害医学教育・放射線教育についてなど。また、これらの内容を踏まえたパネルディスカッションも行われた。

冒頭の会長挨拶では、「東日本大震災発災から一年を迎え、地域の医療体制の再構築には、今も多くの課題が山積している。医療に携わる者として、医療という社会的インフラを再構築することで、地域コミュニティの復活に貢献していかなければならない。今回のシンポジウムが実現したことは誠に意義深く、尊い犠牲の上に得られた貴重な経験を生かして、大災害に対してより万全の準備を整えるための一助となるように願ってやまない」と述べられた。

「安全・安心のためのナショナルセンターの設置」を提言

~日本医師会のプロジェクト委員会答申より~

石井正三・日本医師会常任理事は2012年3月14日の記者会見で、福島県原子力災害からの復興に関するプロジェクト委員会の答申を報告した。答申では、(1)東京電力福島第一・第二原子力発電所災害に関する問題点・課題、(2) 東京電力への損害賠償請求等、(3) 各医師会の対応の3点についてそれぞれ分析した上で、(1) 損害賠償に関する提言、(2) 福島原子力発電所災害からの復旧・復興に関する提言、(3) 福島県による地域医療再生に関する提言、そして(4) 原子力発電所事故による災害対応に関する提言がなされている。

石井常任理事は、提言の中の「安全・安心のためのナショナルセンターの設置」を取り上げ、「われわれは医療提供者としての立場から述べているが、福島県民の疑問・不安は、医療に伴うものだけでなく、環境・植物・動物によるものなど様々であり、それらに応えて、住民が地域で安心して暮らせる環境を再建することが必要である。われわれも可能な限りの協力をしていくが、住民の不安を払拭するためには、窓口の広いセンターが必要になる」として、ナショナルセンター設置の必要性を訴えた。

日本医師会が再生可能エネルギー特措法による実質的な電気料金の再値上げに懸念

日本医師会は、2012年7月から施行される「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー特措法)」により、4月の東京電力による電気料金値上げに続き、「実質的な電気料金再値上げ」の可能性があるとして、懸念を表明した。

再生可能エネルギー特措法とは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどによって発電した電力を、電気事業者に、一定の期間・価格で買い取ることを義務づけるとともに、再生可能エネルギーを買い取る費用を、電気を利用する消費者がそれぞれ使用量に応じて、「賦課金」という形で電気料金の一部として負担するというもの。これにより、再生可能エネルギーが普及・拡大することを目的としている。

日本医師会は、ドイツでの先行事例を基に賦課金を試算した。これによれば、日本の平均的な病院(260床)における光熱費の上乗せ額は、2012年当初は年間約42万円(光熱費0.7%増)であるが、10年後の2022年には年間約625万円(同10.7%増)の負担額となる。

2012年4月11日の記者会見で今村副会長は、「一般の事業者は、電気料金が上がった分を製品・サービスの価格に上乗せすることが可能だが、医療は公定価格であり価格転嫁することが出来ないため、賦課金の免除措置または診療報酬上の措置を講ずるべきだ」と述べた。

完全埋め込み型補助人工心臓へ

小型ワイヤレスポンプ開発

東北大学電気通信研究所・石山和志教授を中心とするグループは2012年4月、新しい小型ワイヤレスポンプを開発したと発表した。このポンプは人間の心臓と同程度のポンプ能力を持ち、かつ小型であることから、完全に体内に埋め込んで使用する補助人工心臓実現への道を拓くものとして期待される。

補助人工心臓は、心臓疾患を持つ患者の心臓につなぎ、ポンプ機能の補助を行う医療機器である。これまでの補助人工心臓は体外にあり、皮膚に穴を開け体内とチューブなどでつながねばならず、生活の障害や感染のリスクとなることも少なくなかった。今回開発されたポンプは小型でワイヤレス駆動が可能であるため、世界初の完全埋め込み型ポンプへの応用が期待される。東北大学研究チームは今後も臨床応用に向けて、このポンプの安全性を中心にさらなる研究開発を行っていくという。

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