大学紹介

秋田大学

【教育】地域医療と世界的研究の担い手を養成

秋田大学 医学部 細胞生理学講座 教授 尾野 恭一

先生

秋田大学医学部医学科の第一目標は、地域医療を担い、世界を意識した探求や研鑽を行う医師・研究者の養成を積極的に推進することです。これは、かつて立ち遅れていた秋田の医療を憂いた県民の熱意に後押しされ、戦後初の医学部として創設されたという 医学部建学の理念そのものです。

医学科の専門科目は、グローバル医学教育に対応した変革の真っ最中です。診療参加型臨床実習が大幅に増え、医療従事者として必要な教養、患者や医療従事者とのコミュニケーション能力の育成、臨床技術や問題解決能力を重視した教育への転換を進めています。初年次からの外国人模擬患者への英語による医療面接実習や症候学など、新たな教育手法でコミュニケーション能力・語学力を育み、早期から医療・医学に触れられる工夫をしています。4年次後半からの臨床実習では、病院実習に加えてシミュレータでのトレーニングなど、知識だけではなく、医療人としての態度・技能に重点を置いています。臨床実習では県内各地の医療機関で学ぶことができ、オール秋田で医学教育を支援する体制が整っています。

選択科目や研究配属・臨床配属においては、学生が興味のある分野で深く学ぶことができます。研究配属期間中の研究成果を国内外の学会で発表し、学会賞を受賞する学生も毎年のように出てきています。海外短期留学にも力を入れており、毎年10名弱の学生を基礎医学研修や臨床実習を目的として海外へ派遣しています。

平成13年度からは卒業試験の一環としてadvanced OSCEを実施しています。全国最多規模の16ステーションが設けられ、実施に際しては医学部全体が関わり、医療人としての知識・技能・態度が備わった医学生を育てるという気概を示しています。地域医療を担い、世界を意識した探求や研鑽を行う医師・研究者を目指す皆さんの入学を心待ちにしています。

【研究】ピリッとスパイスの効いた、秋田産の研究

秋田大学 医学部 産婦人科学講座 教授 寺田 幸弘

先生

秋田大学は医学部を含めても4学部のみで構成されており、大きな組織ではありません。研究面でも巨大な総合大学が掲げるような「ビッグプロジェクト」がひしめいているわけではありません。しかし、創立以来醸し出されてきた勤勉実直な秋田の土壌から生まれた「ピリッとスパイスの効いた秋田産の医学の真実」を多数世界に発信してまいりました。

秋田は寒冷な気候や伝統的な食習慣などの背景から、脳血管疾患や諸臓器のがんの罹患率が高い傾向にあります。また、日本最速の少子化、高齢化を示す当地は、本邦の少し先の姿を示している地域と認識されています。当科ではそれらの背景に基づき、高齢者医療、がん医療などに関連した、様々な基礎および臨床の研究が展開されています。

基礎研究の例をいくつか紹介すると、①生命を構成する最重要要素の一つである脂質の網羅的な解析(リピドミクス)、②肺感染症におけるウイルス、宿主の相互作用の体系的解析、③種々の発がん、がんの進展に関する基礎研究、などがあげられます。これらは、ますます高齢化が進む本県および本邦での医学の進歩に資する重要な研究であり、国際一流誌に精力的に成果が発表されています。

また、本学には豊富な地下資源を背景とした工学、資源工学の研究の伝統があり、本学部ではいくつかの「医学・工学連携の成果」が開花しております。例を挙げると、本学と秋田県産業技術センターで発明した「電界非接触撹拌型迅速免疫染色装置」は2014年に販売が始まり、今後、手術中の迅速免疫染色を可能とする大きな武器として、いずれ世界中の病理部に設置されることが期待されています。本学では定期的に「医理工連携“夢を語る会”」が開催され、学部の垣根を越えた討論が行われています。

「寒くても、交通アクセスが悪くても一流の医学研究は可能である」という気概をもって我々は日夜励んでいます。

【学生生活】合理的で充実した学習の環境

秋田大学 医学部 5年 加藤 僚祐
同 5年 坂本 光 / 同 5年 田村 みなみ
同 5年 堤 俊太 / 同 5年 松岡 修平
同 5年 矢口 愛実

堤:私たちは今、この6人のチームで病院実習中です。秋田大では、一般的には病院実習に行く前の4年生が受ける客観的臨床能力試験(OSCE)を1年生の頃から受けます。入学したてで何も分からないなかで英語での医療面接等を行うのはとても大変でしたが、振り返ってみれば、1年生の頃から臨床を意識した教育を受けられたのはよかったな、と思います。

坂本:秋田大では、科目ごとの定期試験ではなく「統一試験」が行われるのも特徴だと思います。学年によって回数は違うのですが、年に1~2回、例えば2年前期に学んだ全科目を夏休み明けの2日間でまとめてテストするような感じです。

加藤:統一試験のいいところは、勉強に打ち込むときと、部活や遊びに力を入れるときのメリハリがつくことかなと思います。また、広い試験範囲・全問選択式での回答など、統一試験の形式はCBTや国試に似ているんです。そのためか、秋田大学はCBTや国試の合格率も高いんですよ。

松岡:実技の教育も充実していて、東北最大のシミュレーションセンター(秋田大学医学部附属病院シミュレーション教育センター)があります。様々な科の手技を自習したり、指導を受けながら学ぶことができ、とても恵まれた環境だと思います。

田村:県外出身者も多くいますが、臨床研修で秋田に残る人は結構多いと思います。県の医師不足もあってか、患者さんも先輩医師たちも、私たち学生を暖かく迎え入れてくれる雰囲気があって、とてもありがたいです。

矢口:秋田にはたくさんの温泉や、おいしい食べ物やお酒があります。みんなで山登りに行ったり、浜辺でバーベキューをしたり、自然が身近で、勉強以外の面でも充実した学生生活が送れますよ。

※医学生の学年は取材当時のものです。

 

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