従来「高脂血症」と呼ばれていた病名を日本動脈硬化学会は「脂質異常症」という名称に変更しました。それは、善玉コレステロールであるHDLコレステロール値は低いほうが心疾患などの危険が高いということで、単にコレステロールなどの脂質が高い病気という意味の「高脂血症」という言葉は正確ではないという理由からです。
脂質異常症とは、血液の中に溶けている脂質のどれかが正常値の範囲にない状態をいいます。これといった自覚症状もなく日常生活を送る上での不都合もあまりないため、つい放置してしまいますが、そのままにしておくと、脂質が血管壁にたまって動脈硬化を引き起こします。動脈硬化になってもまだ自覚症状がなく、心筋梗塞や脳梗塞など深刻な事態になって、やっとその重大さに気づくことになります。
かつての日本人には脂質異常症はさほど多くみられませんでしたが、現在は年々ふえ続けています。その理由のひとつは食生活の変化です。魚類・穀類・野菜を中心とした食生活が、次第に高タンパク・高脂肪・高カロリーの欧米式食事へと変わってきたことによります。もうひとつの理由は、ライフスタイルの変化です、日常生活で身体を動かす機会が減り、運動不足になる人もふえてきました。このように余分なエネルギーが発生し、それが皮下脂肪や内臓脂肪といった形で蓄えられることになります。
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