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平成28年(2016年)12月5日(月) / 日医ニュース

平成28年度緊急薬価改定を了承―オプジーボの薬価は50%引き下げへ―

平成28年度緊急薬価改定を了承―オプジーボの薬価は50%引き下げへ―

平成28年度緊急薬価改定を了承―オプジーボの薬価は50%引き下げへ―

 中医協総会が11月16日、厚生労働省で開催され、厚労省事務局が示した「平成28年度緊急薬価改定について(案)」を了承。がん治療薬「オプジーボ」の薬価は50%引き下げられる見通しとなった。
 「オプジーボ」は、2014年に悪性黒色腫の薬として薬価収載され、当初はその対象者が470人程度と少なかったことから、採算がとれるよう価格が高めに設定されていた。
 しかし、昨年12月に肺がんにも適用可能となり、企業の予測によれば、対象患者が1万5000人に拡大することから、その販売額が急増することが見込まれるだけでなく、諸外国と比べても薬価が高く、財政に対する影響も大きいことから、その引き下げに関する議論が続けられていた。
 日医は、これまでの中医協において、中川俊男副会長が、社会保障の財源確保が難航する中、市場規模が極めて大きい高額な新薬の薬価収載が続いていることに懸念を表明するとともに、高額な薬剤への対応としては、期中改定ありきではなく、幅広い議論を行うことを主張していた。
 当日は、総会の前に、薬価専門部会が開催され、厚労省事務局より、「薬価に係る緊急的な対応について(案)」が示され、(1)背景、(2)論点及び具体的対応、(3)平成30年度改定との関係―等について説明が行われた。
 中川副会長は、今回の緊急的対応における薬価の算定において、薬価算定組織での検討を実施しないことを疑問視。丁寧な手続きを求めるとともに、「算定された薬価について、企業は不服意見を提出できることとする」とされていることに関して、仮に不服意見が提出された場合の手続きや、議論の流れについて確認した。
 更に、同副会長は、「製薬企業が『企業戦略』として、薬価改定が遅くなるようなタイミングで薬効等の拡大を申請しているのではないか」と指摘。市場規模が極めて突出した薬剤以外にも対応可能な抜本的な見直しを求めた。
 議論の結果、「平成28年度緊急薬価改定について(案)」は部会として、了承することとなり、総会で改めて議論が行われることになった。
 総会では、「薬価専門部会からの報告」に対して、中川副会長が、『最適使用推進ガイドライン』の策定について、「以前から再三にわたり厚労省内の医薬・生活衛生局と保険局の連携を求めているにも関わらず、手続きに反映されていない」と批判。加えて、『最適使用推進ガイドライン』を策定する案の段階から中医協で議論すべきと主張した。
 松原謙二副会長も、「『最適使用推進ガイドライン』は、保険局も責任を負うべきものである。医薬・生活衛生局だけではなく、保険局も了承するまでは案として扱うべき」と述べ、保険局の関与の必要性を強調した。
 また、中川副会長は、薬価算定方式を抜本的に見直す項目として、「類似薬効比較方式で使用する比較薬の選定方法」「原価計算方式における原価計算の透明化」「外国平均価格調整における米国価格の除外、為替レート変動への対策」を提案し、その実施を強く求めた。
 一方、「平成28年度緊急薬価改定について(案)」に関しては、中川副会長が、将来的に「オプジーボ」や「キイトルーダ」が1次治療から使用されることが予想されるとし、「そうした事態にも対応できるよう、事前に議論をしておくべき」と主張。更に、「イノベーションの評価は新薬創出加算ではなく、別の形で行うべき」と述べ、評価方法の見直しを要望した。
 更に、松原副会長は、オプジーボ点滴静注の平成28年度販売額(薬価ベース)の推計に使用された算定式について、「計算式で仮定に仮定を重ねている」として、その信憑性を厚労省に確認した。

国民皆保険を守るための緊急的な措置―横倉会長

 当日開催した日医の定例記者会見で、今回の決定に対する日医の見解を問われた横倉義武会長は、「今回の措置はあくまでも国民皆保険を守るための緊急的な措置であり、やむを得ないものであったと考えている」と述べた。
 その上で、同会長は、安倍晋三内閣総理大臣と会談した際に高額薬剤の問題についても議論になったことに触れ、その際には「必要な患者さんに必要な薬剤を使えるような価格にして欲しい」と要望したことを説明。今後、高額な薬剤が多く出てくる状況にある中で、薬価の決め方については、「これまでのままで良いのか」と疑問を呈し、その見直しを求めるとともに、高額薬剤に関しては使用する基準についても定める必要があるのではないかとの考えを示した。

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