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平成29年(2017年)10月5日(木) / 日医ニュース

横倉会長が第35代CMAAO会長に就任

横倉会長が第35代CMAAO会長に就任

横倉会長が第35代CMAAO会長に就任

 2017年アジア大洋州医師会連合(CMAAO)東京総会が9月13日から15日にかけて、都内のホテルで開催された。
 国内からは、横倉義武会長、中川俊男・今村聡・松原謙二各副会長、道永麻里常任理事を始めとした日医役職員、道府県医師会役職員、日医総研研究員等の他、CMAAO組織委員会、国際保健検討委員会、生命倫理懇談会、日医ジュニアドクターズネットワーク(JMA―JDN)、国際医学生連盟(IFMSA)等から、総勢150名が出席した。
 また、加盟14カ国医師会(日本、オーストラリア、バングラデシュ、香港、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ)から約70名が参加し、欠席は4医師会(カンボジア、ニュージーランド、スリランカ、マカオ)であった。

理事会

171005e6.jpg 13日には、総会式典に先立ち理事会が開催された。
 理事会では改選期の役員選出が行われ、理事会議長にシンガポール医師会のイエ・ウェイ・チョン理事が、副議長にマレーシア医師会のカー・チャイ・コー事務総長を選出。財務担当役員には香港医師会のイー・シン・チャン副会長が、事務総長には道永常任理事がそれぞれ再任された。
 道永常任理事はCMAAO事務総長報告として、「第2回世界獣医師会―世界医師会"One Health"に関する国際会議」を北九州市で開催したことなど、この1年間の動きを説明。CMAAOの活性化に向けて引き続き努力していく考えを示した。
 また、横倉会長の世界医師会(WMA)次期会長就任に対する協力に対して謝意を述べた。
 その他、横倉会長が、6年間CMAAOの議長を務め、今回で退任することになったドン・チュン・シン前韓国医師会国際委員会議長をCMAAOの新たなアドバイザーとすることを提案し、了承された。

開会式・就任式

171005e3.jpg 午後からは、総会式典として、事務総長である道永常任理事の進行の下、開会式とCMAAO新会長の就任式が行われた。
 開会式は横倉会長の歓迎あいさつ、プラサート・サルンヴィヴァッドCMAAO会長の開会あいさつに続き、4名の来賓より祝辞が述べられた。
 加藤勝信厚生労働大臣は、今回の総会テーマである終末期医療について、世界的にも重要な課題であるとの認識を示すとともに、「人の尊厳を尊重した生き方をどう実現していくかという、根源的なテーマにつながる課題である」と強調。厚労省では、人生の最終段階において患者からの相談に適切に対応できる人材の育成や、病気になる前から本人と家族らが話し合うアドバンス・ケア・プランニングの普及・啓発を進めているとし、「医療界の皆さんとも協力しながら、全ての人が安心して最期を迎えられる社会づくりの実現に向けて取り組んでいきたい」と述べた。
171005e4.jpg 小池百合子東京都知事は、2030年には都民の4人に1人が65歳以上になるとした上で、「高齢社会は多死社会であり、そのような中、終末期医療においてどのような治療が提供されるべきなのか。患者により良いQOLを提供すること、望ましい人生の終わり方ができることが重要だと考える」と述べ、3年前に亡くなった母親が、医療関係者のネットワークの中で満足な最期を迎えたエピソードを紹介。終末期医療は死生観、文化などさまざまな価値観が伴う非常にデリケートなテーマであるとし、価値ある議論を求めた。
 ケタン・デサイWMA会長は、1956年に日医が中心となって設立したCMAAOによって、各国が恩恵を受けているとした上で、一定の反省も必要だと指摘。WMAのように重要な事項にインパクトを与えるため、目的を明確にして効果的な運営をしていくべきであるとし、そうすることでCMAAOの存在感や信頼感が増し、より多くの目標に向かって進めるとした。
 また、CMAAO新会長となる横倉会長が、今年10月よりWMA会長ともなることに祝意を示すとともに、困難な状況において真価が発揮されるよう期待を寄せた。
 オトマー・クロイバーWMA事務総長は、CMAAOの活動を称賛するとともに、昨年11月に福岡県北九州市で開催された「第2回世界獣医師会―世界医師会"One Health"に関する国際会議」への協力に、改めて感謝を示した。その上で、終末期については、「感情が関わる難しいテーマである。しかし、WMAとしては、時に終末期医療について語らざるを得ない。政策上の課題もあるが、我々の原則や価値観などが変わらないのか、あるいは変わる必要があるのかを見直す必要もある。そういった中で各国の意見を聞くことは重要だ」と述べた。
 第35代CMAAO会長(2017~18)就任式では、横倉会長がサルンヴィヴァッド会長よりメダルを手交され、CMAAO新会長に就任した。
171005e2.jpg その後、新会長就任演説に立った横倉会長は、「現在、そして将来に目を向けると高齢社会という変革期と言うべき時代に立っている。医師としては医療の原点に立ち返り、健康長寿社会をつくり上げ、かつそれを継続的に支えていかなくてはいけない。これは将来各国が共通に対処すべき大きな課題である」と主張。世界には、低所得国から先進国に至る各国固有の問題が根底にあり、それが問題解決を困難にしているが、医療分野における広範な課題に取り組んでいかなくてはならないとした。
 また、グローバリゼーションの進展とともに、ボーダーレス化が急速に進む現代において、エボラ出血熱、鳥インフルエンザ等の感染症の蔓延(まんえん)や、自然災害等の発生に備え、国境を超えた医師の結束がますます重要になるとして、新しい時代に向けた体制づくりの重要性を強調。地球温暖化、大気汚染など、環境と健康に大きな影響を及ぼすグローバルな課題についても、喫緊の対応が求められているとした。
 一方、健康寿命を世界のトップレベルにまで押し上げてきた日本の医療システムが、世界が経験したことのない高齢社会を安心へと導く世界モデルとなり得るとして、「この優れた医療システムを世界に発信することで世界中の人々の幸福の実現に貢献したい」と述べた。
 その上で、日医会長、CMAAO会長、WMA会長を兼ねることとなる自身の使命については、「CMAAOの活動をより活性化させ、地域住民の健康の増進に努めながら、WMAとの関わりを一層緊密なものとして、アジア大洋州地域の医師の声をWMAに届けることである」とし、その達成に向けて取り組んでいくとの姿勢を示した。
171005e5.jpg カントリーレポート(各医師会活動報告)では、オーストラリア、バングラデシュ、香港、インド、インドネシアに続いて、松原謙二副会長が日本の医療を取り巻く状況について報告した。
 同副会長は、日医の成り立ちや日本医学会との関係について説明した上で、日本の国民医療費の財源が自助・公助・共助で構成されていることを概説。患者の自己負担が国民医療費の約1割を占めており、公的医療保険制度がある他の先進諸国に比べて、自己負担が高い水準にあることや、税収が伸び悩む中で税収に占める医療費の割合が年々増加傾向にあることなどを課題に挙げた。
 社会保障費については、今後も医療、介護を中心に増加することが見込まれることから、成長戦略や規制緩和の名の下に、保険給付範囲を狭める圧力が予想されるが、未曾有(みぞう)の少子高齢社会の中で国民皆保険を堅持していくためには、医療者側から適切な医療の在り方を提言して、時代に即した改革を進めていく必要があるとした。
 更に、社会保障が持つ経済効果にも触れ、「社会保障の発展が、生産や雇用の誘発効果をもたらし、日本経済を底支えしている。また、医療を拡充することによる国民の健康水準の向上が、経済成長と社会の安定に寄与している」として、国民の不安が高まる時こそ、社会保障を充実させる必要があることを強調。高齢になっても安心して医療や介護を受けられることを示すことで国民の不安を解消させ、経済成長により賃金が上昇、更なる社会保障の充実につながるという好循環を実現したいとの展望を述べ、真に国民に求められる医療提供体制の実現に向けて努力していく姿勢を示した。

シンポジウム

 14日には、「"End-of Life Questions"終末期医療」をテーマにシンポジウムが開催され、17カ国による終末期医療に関する講演が行われた。
 日医は、シンポジウムに先駆け、CMAAO加盟各国医師会及びWMAのアジア地域に属する中国医師会、イスラエル医師会を加えた21カ国の医師会を対象として、シンポジウムのテーマである「終末期医療」に関するアンケート調査を実施。19カ国医師会からの回答を得た。
 WMAでは、「終末期医療」を普遍的な課題として取り上げ、これまで、安楽死や医師が支援する自殺に反対することを明らかにしてきたが、近年、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク及び米国のいくつかの州でこれらの措置を認める法律が制定されてきた。
 こうしたことから、2015年のWMAオスロ理事会で、各地域における会合の開催と意見の集約を求めることが決定され、本年3月にラテンアメリカ、本総会でアジア・大洋州(CMAAOはWMAの地域会議として位置づけられている)、11月にヨーロッパ諸国、そして来年2月にアフリカから、それぞれ意見が寄せられることになった。
 今回のアンケートでは、「問1:安楽死や自殺ほう助への医師の関与を認める法律や判決の有無」「問2:生前の指示書に関する法令の有無及び蘇生を試みない指示と法定代理人の任命」「問3:生命維持システムの不使用、使用中止」「問4:緩和ケア、宗教」「問5:超高齢社会における終末期医療の在り方」について質問。その結果、全ての医師会が積極的な安楽死と医師が支援する自殺に反対していることが明らかとなった。
 また、オーストラリアとニュージーランドを除くアジア大洋州地域では、安楽死と医師が支援する自殺の概念について議論することは重要とは考えていないこと、全ての医師会が終末期の患者のために、医師と「生前の指示」及び「事前のケア計画」の作成をサポートしていることが分かった。

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都市部の高齢化が大きな課題
―髙久氏

 武見太郎記念講演では、横倉会長の座長の下、髙久史麿前日本医学会長が、「高齢者の終末期医療」について講演を行った。
 髙久氏は、まず、日本の高齢化について触れ、2025年には65歳以上の高齢者人口が約3500万人以上になるとの推計値を紹介しながら、「今後、高齢者の一人暮らしは更に増加する傾向にあり、2025年には都市部の人口でさえ急速に高齢化することになる。これが現在、わが国が直面している大きな課題である」と指摘した。
 また、自身が座長を務めている日医の「生命倫理懇談会」での議論について説明を行った。
 講演会の最後には、横倉会長から髙久氏に記念の盾が贈呈された。

全体会議

 15日午前に行われた全体会議では、「"End of Life Questions"に関するアジア大洋州地域の見解」の取りまとめに向け、これまでの議論を踏まえ日医が取りまとめた「たたき台」を基に内容の確認が行われた。
 その結果、最終取りまとめを日医一任とし、CMAAOとして本見解をWMAシカゴ総会に提出することが採択された。
 全体会議を終えて、クロイバーWMA事務総長は、アジア社会において積極的な安楽死を支持する国は一つもなかったとする一方、その共通項として"宗教観""家族の絆"を挙げ、アジアでは患者に対して家族や地域によるしっかりとしたサポートがあることで安楽死への要求が弱いのではないかとの見解を示した。
 また、「終末期医療を考える上で、家族・地域社会の役割についてWMAでも検討する必要がある」と指摘。「WMAでは、ぜひ個人が主体の欧米社会に向けて、アジア地域における家族や地域社会の重要性を伝えて欲しい」と要望した。
 最後に横倉会長は、「アジアで暮らす人々は家族の絆を大切にしていることが再確認できた」と述べるとともに、「日本は超高齢社会を迎え高齢者の終末期が大きな課題となっているが、その解決策は家族や地域とのつながりにあると確信している。今回の終末期に関する議論を通じてその解決策を見出していけるのではないか」とCMAAO東京総会の成果を称えた。

総会

 続いて、横倉CMAAO会長の主宰により総会が行われ、理事会決定事項の承認の他、次期会長にマレーシア医師会のラヴンドゥラン・ナイドゥ会長が、第一副会長にインド医師会のK.K.アガラワル会長がそれぞれ指名された。
 また、総会の開催地を、2018年はマレーシア、2019年はインド、2020年は台湾とすることを決定。2018年の総会のテーマは「Universal health coverage(UHC)」となった他、パキスタン医師会からの新規加盟申請が承認され、CMAAO加盟国医師会数は19となった。
 その他、菅波茂認定特定非営利活動法人AMDA理事長より、今後、各国で起こり得る大規模災害に対応するためには「相互扶助」の精神の下、医療支援チームの派遣など緊急人道支援活動を行うネットワークを早急に構築する必要があるとして、その構想についての提案が行われた。

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