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平成30年(2018年)1月20日(土) / 南から北から / 日医ニュース

ラジオ世代

 近頃、ラジオの人気が下降気味であるという。特に、若い人達に人気が無いらしい。
 なるほど、わが息子もネットとスマホで十分に満足しているようで、ラジオを聞いている姿は見たことが無い。
 私が覚えている最初のラジオ番組は、小学校低学年の頃に聞いていた「赤胴鈴之助」である。随分後になって、吉永小百合が出演していたのを知ったが、「チョコザイな小僧め、名を名乗れ」「赤胴鈴之助だあ」は懐かしいフレーズである。
 時代の流れでもあったのか、ラジオの製作にもはまり、ゲルマニウムラジオ(鉱石ラジオ)、トランジスタラジオ、真空管ラジオなども作った。
 「大学受験ラジオ講座」、ハリス先生の「100万人の英語」などにもお世話になったが、深夜放送最盛期に多感な青春時代を過ごした私は、「オールナイトニッポン」「パックインミュージック」「セイ!ヤング」などで、人気絶頂の芸能人やミュージシャンの放送を寝る間も惜しんで聞き、エアチェックにも夢中になった。モコ・ビーバー・オリーブ、タモリ、あのねのね、笑福亭鶴光、吉田拓郎などなど。
 ラジオの魅力について考えてみると、何となく音が欲しい時には最高で、他の作業をしながらでも楽しむことができるのが、一番の魅力であろう。
 ラジオ番組の多くは生放送で、パーソナリティとの距離が近く、番組への親近感が湧きやすいのも魅力である。自分だけに語り掛けてくれるように感じてしまう。永六輔や小沢昭一、浜村淳らのように長寿番組になることが多く、放送を聞くことが生活リズムの一つになる。
 また、新しい曲、昔懐かしい曲、クラシック、ジャズと多彩な音楽番組があり、思いがけず良い音楽に出くわすことも楽しみの一つである。
 ラジオは音の世界であり、想像をたくましくすることによる脳の活性化が認知症の予防に働き、「ラジオは脳に効く」との意見も見られる。
 このように素晴らしいことばかりのラジオも2013年のビデオリサーチでは全く聞かない人が34パーセントを占め、その理由は興味が無い、ネットやテレビの方が面白いとのことであった。
 そこでラジオ業界も、「Podcast」「radiko」「らじる★らじる」など、ネットとの結びつけで巻き返しを図り、PCやスマホでラジオ番組が楽しめるようになった。民間放送と同い年のラジオ世代である私にとっては夢のようなことで、ラジオ以外の装置で、それも日本各地の放送局、最近では過去1週間にさかのぼった放送まで聞けるようになり、ますます楽しみが増えた。
 もちろん、この原稿も聞きながら書いている。

(一部省略)

徳島県 徳島市医師会報 第29号より

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