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平成30年(2018年)6月20日(水) / 日医ニュース

勤務医として一生をどう過ごせばいいのか

勤務医のひろば

勤務医として一生をどう過ごせばいいのか

勤務医として一生をどう過ごせばいいのか

 人生設計など最初からできるものではないが、振り返ってみると、世の中の流れに流され、先輩の言われるままに外科医を目指し、院長を経験し、現在は岡山県医師会副会長としての生活を送っている。
 そもそも医師になろうと考えていた訳ではなく、岡山市の北区にある運動公園(かつては練兵場として陸軍が駐屯していた)が近く、春には麦畑にひばりが鳴くのどかな場所にあった伊島小学校を卒業した。岡山市で一時は最大のマンモス校となり、運動場にプレハブ校舎が建設されたこともあった。500人を超える同級生がいたが、医師になった人を私は知らない。
 岡山大学医学部卒業と同時に、運良く学区にある岡山済生会総合病院外科に就職させてもらった。特に手術症例が多く、毎年200例以上の手術が経験でき、毎日手術室に入ることもあった。40年以上現役であったので、手術をした患者さんの数も推して知るべしである。
 しかし、手術をした患者さんも20年、30年と経つと次第に高齢化し、今年100歳を迎える患者さんもいる。「私より先に亡くならないで下さい」「健康に留意するように」と励まされることもよくある。それぞれの家族の事情があるのであろう。息子に言えない悩みも相談されることも多い。
 病院も、急性期病院、DPC病院のジャンルに入り、ひたすら手術をする立場となった。更に、かかりつけ医の重要性が再認識され、できる限り紹介医に返すことが推奨され、クレームもあったが、数年で外来患者は1割削減された。
 医師と患者の関係は、在院日数の短縮や専門性の導入により、ますます希薄になっている。人生設計は自分の年齢や世の中の変化により変わってくるのは当然であるが、一生通じて頼られる医師でありたいと考えるのが自然ではないだろうか。
 人とのかかわりが好きで、たまたま医師という職業になり、現在も細々と続けている。

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