日医ニュース 第865号(平成9年9月20日)

朝日新聞の事実誤認記事に対し日医が抗議文を送付

 

 8月31日付朝日新聞朝刊は、「改革はだれのために・医療保険」と題する特集において、「医療費、2千億円過剰支払い」の副題をつけ、憶測・曲解に基づくと解される医師に対する誹謗記事を掲載した。そこで、日医としては、9月2日の記者会見で、糸氏副会長が当該記事の不当性を指摘し、さらに、9月4日、朝日新聞社社長松下宗之氏宛に、坪井会長名をもって別掲のような抗議文を送った。それと同時に、都道府県医師会に対して、同社の当地支局にも抗議するよう要請した。

 

[糸氏副会長記者会見要旨]

 「審査にともなう過誤調整」と「不正請求」が、根本的に異なることはいうまでもない。この記事は、事務上の誤りなどに基づく「過誤調整」、これらをすべて「不正請求」とみなし、その一方的な解釈をもとに強引につくり上げた誇大報道であって、きわめて遺憾である。われわれの調査では、2千億円という数字は、支払基金、国保連合会のデータからは出てこない、あくまでも推測に基づく記事と断ぜざるを得ない。われわれは、不正は不正として厳重に一線を画して厳正に対処し、会員に対し一罰百戒で臨んでいる。

 この報道は、いたずらに国民に誤解を与えるだけであって、「患者と医師の信頼関係」を損なう以外の何物でもない。また、真剣に日常診療に取り組んでいる医師に対して、これほど侮辱的な記事はなく、許しがたい。