日医ニュース 第967号(平成13年12月20日)
ORCAプロジェクト通信(第1回) |
ORCAプロジェクトとは |
ORCAプロジェクトとは,各医療現場に標準化されたオンライン診療レセプトシステムを導入し,互換性のある医療情報をやりとりできるようにする日医の計画(ORCA:Online Receipt Computer Advantage)である.このプロジェクトでは,開発したレセプトプログラムやデータベースを全国の医師,医療機関がだれでも無料で利用・改良できる公開ソフトウェア(オープンソース)の方式をとる.また,ORCA方式のレセコンを標準端末として,情報の交換,蓄積,点数改定データの配信などができる,新しい医療情報ネットワークのインフラとして期待されている.
このORCAプロジェクトは,11月20日に行われた「日医IT化宣言」の中核を担うプロジェクトでもある.現在は,2002年4月の本運用を目指して,全国104カ所の会員医療機関と88社の協力業者に協力してもらい,レセプトプログラム(無床診療所向け)の試験運用が行われている.
ORCAのレセコンを導入するには |
会員の先生方がORCAのレセコンを導入するには,2つの方法がある.
(1)は,医療機関から見て,今までのベンダーを通じたレセコンを購入する仕組みと同じである.ORCAではプログラムが無料になるが,ハード(PC)やサービスに対する対価はやはり必要となる.医療の情報化の自由な発展を妨げることのないよう,導入やメンテナンスの費用に関して,日医による統一はしない予定である.従来との大きな違いには,プログラムやデータベースの規格がオープンであるため,特定の業者やメーカー製品を使い続ける必要がないこと,他のシステムとも接続がしやすい点などが挙げられる.
(2)の導入方法には,高度なコンピューターの知識が必要である.また,レセプトコンピューターは,医療機関の重要な業務システムでもあることから,一般の先生方には,(1)の方法をおすすめしている.ORCAのレセコンを扱う業者については,順次本紙面やホームページなどで紹介していく予定である.
その他の条件として,常時接続(定額料金)によるインターネット回線の契約をおすすめする.電話料金を気にせずに24時間ORCAのネットワークが利用できる他,将来は,緊急災害時にも利用できる医療情報ネットワークの構築を目指しているためである.インターネットの契約については,業者が導入時のメニューとして用意することもあれば,自身で契約している回線を流用することもできる.
ORCAのレセコンは,多くの先生方に利用していただきたいと考えているが,利用を強制するものではない.また,使い勝手などに関しても多くの改善の余地があると指摘してもらっており,現在も進化中である.この進化は,完全公開(1月末オープンソース化)後もスピードを緩めることなく,日医がコアとなり進めていく予定である.
評価版プログラムの提供について |
日医会員向け評価版プログラムのダウンロードを受付開始した.詳しくは,ORCAプロジェクトのホームページ(http://www.orca.med.or.jp/)を見てほしい.このプログラムを利用するためには,Linux(リナックス)のDebian(デビアン)というオープンソースの基本ソフト(OS)を導入したパソコンが必要である.マイクロソフト社のWindowsやアップル社のMacintosh上でダウンロードをしても,そのままでは利用できないので注意してほしい.
最近のトピックスと今後の予定 |
11月20日 | 「日医IT化宣言」 | |
12月17日 | 会員向け評価版プログラムの受付開始 | |
来年1月 | 労災・自賠への対応 | |
プログラムの完全公開(オープンソース化) | ||
来年4月 | ORCA本運用 | |
来年8月 | 入院への対応(試験運用開始) | |
電子カルテ開発キットの評価版 |
Q&A |
○来春の点数改定への対応はどうなるのか?
日医が責任をもって対応する.ネットワークを利用した自動もしくは半自動での更新を予定している.
○2002年4月から全国でORCAが利用できるのか?
業者のサポート体制が整った地域から4月本運用を許可していくため,都道府県単位でスタート時期はばらつく.
○「ORCA」の名称は変更するのか?
「ORCA」は当面プロジェクト名とし,商品名としての新名称を日医内部で考案中である.
新名称が必要な理由は下記のとおりである.