資料版 平成12年度 社会保障給付費(概要) 平成14年12月 国立社会保障・人口問題研究所 |
社会保障給付費は78兆1,272億円 |
(1)平成12年度の社会保障給付費は78兆1,272億円であり,対前年度増加額は3兆855億円,伸び率は4.1%である.
(2)社会保障給付費の対国民所得比は20.53%となり,推計開始以来過去最高を記録した.これは,引き続き社会保障給付費が増加している一方で,国民所得の対前年度伸び率がΔ0.3%と減少したことによる.
(3)国民1人当たりの社会保障給付費は61万5,500円で,対前年度伸び率は3.9%と前年並みだった.
部門別には「医療」33.3%「年金」52.7%「福祉その他」14.0% |
(1)社会保障給付費を「医療」,「年金」,「福祉その他」に分類して部門別にみると,「医療」が26兆62億円で総額に占める割合は33.3%,「年金」が41兆2,012億円で総額に占める割合は52.7%,「福祉その他」が10兆9,198億円で14.0%である.
(2)平成12年度から介護保険が導入されたことにより,分類が前年度とは異なっているため,前年度との比較は参考程度となるが,「医療」の対前年度伸び率はΔ1.5%であり,平成11年度の3.9%に比べると小さくなっている.
(3)「年金」の対前年度伸び率は3.2%であり,平成11年度の3.9%より小さかった.この伸び率は,「年金」として独立の部門として集計を開始した昭和40年度以来最低の伸び率である.
(4)社会福祉サービスや介護対策に係る費用,生活保護の医療扶助以外の各種扶助,児童手当等の各種手当,失業・雇用対策に係る費用等からなる「福祉その他」の対前年度伸び率は25.0%で,平成11年度の対前年度伸び率(5.0%)に比べると大きな伸びであった.なお,今年度より介護対策を再掲した.
機能別社会保障給付費 |
(1)9つの機能別分類において,最も大きいのは「高齢」であり,36兆8,270億円,総額に占める割合は47.1%である.
(2)機能別分類で2番目に大きいのは「保健医療」であり,25兆6,408億円,総額に占める割合は32.8%である.これら上位2機能分類「高齢」「保健医療」で,総額の80.0%を占める.
(3)上位2機能以外では大きい順に,「遺族」5兆8,747億円で7.5%,「失業」2兆6,271億円で3.4%,「家族」2兆2,826億円で2.9%,「障害」1兆8,747億円で2.4%,「生活保護その他」1兆7,641億円で2.3%,「労働災害」1兆377億円で1.3%,「住宅」1,986億円で0.3%となっている.
(4)対前年度伸び率では「家族」12.1%,「住宅」11.9%と高いが,額としては小さく全体の伸びへの影響は小さい.一方,給付費全体の伸びに最も影響を与える「高齢」については9.4%の伸びとなっているが,この要因の一つは,介護保険導入により,介護保険にかかわる給付の一部が「保健医療」から「高齢」に移行したことである.
高齢者関係給付費 |
年金保険給付費,老人保健(医療分)給付費,老人福祉サービス給付費および高年齢雇用継続給付費を合わせた高齢者関係給付費は,平成12年度には53兆1,982億円となり,社会保障給付費に対する割合は68.1%である.
社会保障財源 |
(1)収入総額は90兆1,562億円である.
注)収入総額には,社会保障給付費の財源に加えて,管理費および給付以外の支出の財源も含まれる.
(2)大項目では「社会保険料」が54兆9,694億円で,収入総額の61.0%を占める.次に「税」が25兆2,184億円で,収入総額の28.0%を占める.
(3)収入総額は対前年度比較で7.2%減少したが,その主な原因は資産収入の減少であった.平成11年度では厚生年金基金等に係る資産収入の増加によって大きな伸びを示した資産収入は,資産収入を計上しているこれらの制度において減少したため,対前年度比較でΔ55.0%と大幅に減少した.