「骨太方針―3つの宣言」の検証
1.経済活性化宣言
「民間の活力を阻む規制・制度や政府の関与を取り除き,民間需要を創造する」
⇒規制の緩和や撤廃が民間需要を創造するという空想.
⇒規制緩和・撤廃で創造されるのは需要ではなく供給.
⇒潜在的ニーズがなければ需要は生まれない.
⇒コンビニエンスストアで医薬品を販売しても,全体の薬の需要は増加しない.
⇒医療や教育,農業分野などでの規制緩和は,「需要の創造」という面からも無意味である.
2.国民の安心感確保宣言
「持続可能な社会保障制度を構築し,若者が将来を展望でき,高齢者も安心できる社会をつくる」
⇒誤解を招く宣言内容.
⇒あたかも,費用を含め国の責任で社会保障の充実を図るかのごとき表現.
⇒実態は国家財政最優先主義による国民への給付引き下げ方針に過ぎない.
3.将来世代に責任が持てる財政の確立宣言
「財政の信認を確保し,成果を重視する」
⇒信認を失った国家財政の中身とは何か.
⇒不良債権化しているものを含め,国家財政の中身をすべて情報公開することが先決.
⇒そのうえで,信認を失う財政としたものの責任を明確にすべき.
⇒失政の責任を「潜在的国民負担率」などという概念で国民に押し付けるべきでない.情報公開することが先決.
○財務省による財務省のためのシナリオ
○国家財政を悪化させた張本人である財務官僚の責任の回避
○イメージだけの言葉に隠された「国民」に対する不誠実さ
○誤った認識による3つの宣言に基づく「7つの改革」の欺瞞
⇒政策を官僚の手から国会に取り戻す必要性
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