日医ニュース
日医ニュース目次 第1012号(平成15年11月5日)

第109回日本医師会臨時代議員会
坪井会長所信表明 社会保障を国家戦略に

 第百九回日医臨時代議員会が,十月十二日に日医会館で開催され,「平成十四年度日医決算の件」をはじめとする四件の決算と,「平成十五年度治験促進センター事業特別会計予算の件」が審議された.また,坪井栄孝会長は,所信表明のなかで,次期会長選挙には立候補しないことを明らかにした.

第109回日本医師会臨時代議員会 坪井会長所信表明社会保障を国家戦略に 午前九時三十分,関原敬次郎議長の開会宣言,あいさつの後,坪井会長が所信を表明(別記事参照).そのなかで,今期で引退することを明らかにした.
 つづいて,糸氏英吉副会長が会務を報告したのち,議事に入った.
 まず,第一号議案「平成十四年度日本医師会決算の件」,第二号議案「平成十四年度医賠責事業特別会計決算の件」,第三号議案「平成十四年度日医総研事業特別会計決算の件」,第四号議案「平成十四年度診療情報の提供の環境整備事業特別会計決算の件」を一括上程,石川高明副会長が提案理由を説明した後,詳細な審議を行うため,決算委員会に付託された.(下掲)
 次いで,第五号議案「平成十五年度治験促進センター事業特別会計予算の件」が上程され,石川副会長の説明後に予算委員会に付託(下掲).その後,代表質問(下掲)と個人質問に入った.
 午後一時五十五分,理事・監事室において決算委員会が,役員会議室において予算委員会がそれぞれ開催され,その間,大講堂では質問が継続された.
 午後三時三十五分,議事を再開し,決算委員長(赤倉昌巳氏・北海道)から審議結果が報告され,第一号〜第四号議案を賛成多数で可決.つづいて,予算委員長(凌俊朗氏・佐賀県)が委員会の結果報告を行い,賛成多数で可決した.
 午後三時四十分,会長の閉会あいさつ,議長の閉会宣言で代議員会は終了した.

代表質問

 ブロック代表質問は七件あり,執行部役員による回答は,次のとおり.
 (一)岩砂和雄代議員(中部・岐阜県)は,「医療材料・機器の内外価格差の是正」について質問し,青柳俊副会長は,「内外価格差の根源は,日米MOSS協議にあり,米国の強いプレッシャーがある.しかし,昨年の改定で,海外四カ国の平均価格の二倍以内を原則とする価格設定ルールを確立したので,今後も海外の価格を把握して,さらなる価格適正化を要求する」と答弁した.
 (二)土岐保正代議員(近畿・兵庫県)は,小泉支持の問題,某商業誌に掲載された退任問題,診察報酬改定内容の問題等例を挙げ,不明朗な日医の意志決定のあり方について質し,坪井会長は,「残された六カ月こそ,今指摘されたことなどをしっかりとクリアしながら,変えるべきことは変える,不透明な部分は修正する努力を誠心誠意行っていきたい」と答弁した.
 (三)碓井静照代議員(中国四国・広島県)の「平成十六年度診療報酬改定への日医の取り組み姿勢について」に対し,青柳副会長は,「現在の医療費動向が続けば,医業経営上,大問題が発生してくる.すでに十月の中医協総会で要望の一部を提出しているが,今後とも不合理項目の是正に向け努力したい」と答えた.
 (四)合馬紘代議員(九州・福岡県)の「かかりつけ医を中心とした地域医療体制の構築について」には,糸氏副会長が大病院等による自己完結型医療指向の動きに憂慮を表明したうえで,「国民には,だれをかかりつけ医にしてよいか分からないという問題もある.そのニーズに対して,日医も何らかの形で応えていかなければ」として,一方策を示した.
 (五)河西紀夫代議員(北海道・北海道)の「次期診療報酬改定並びに医療費財源確保について」の質問に対して,櫻井秀也常任理事は,「『医政なくして医療なし』の考えから,日本の医療制度がどうあるべきか,国民の生命・健康を守るために何をなすべきか,これらのことに関する医師会の考え方を,本当に理解し,実行する力のある国会議員を選出することが,最も重要な課題であると考える」と回答した.
 (六)鈴木聰男代議員(東京・東京都)の「国民の信頼を得るために,いま何をなすべきか」について,糸氏副会長は,まずは従来からの医師と患者の人間関係の脱皮が大切であると述べたあと,日医の生涯教育制度に触れ,従来の任意制から義務化する方向に持っていくことも考えられるとした.一方,医の職業倫理規定を自主的に作成すること,自浄作用活性化委員会の強化も必要になると述べた.
 (七)原中勝征代議員(関東甲信越・茨城県)が「医療費改正に対する日医の対応」について質問したのに対し,青柳副会長は,「保険財源の検証,医薬品・特定保険医療材料の内外価格差の是正,医療安全に係るコスト,経営状況の悪化の客観的証明等により,医療提供体制の確保という視点から,診療報酬の引き上げを強く要望していく」と答弁した.

決算委員会
付託議案を原案どおり承認

 代議員会から付記された第一号〜第四号議案は,議長が指名した十五名の委員から成る決算委員会で審議された.
 委員会は,関原敬次郎代議員会議長の司会で開会し,赤倉昌巳委員(北海道)を互選で委員長に選出.次いで,宮坂雄平常任理事が平成十四年度決算について説明を行い,質疑に入った.
 俎上に載った主なものは,一般会計における「医事法関係費」の執行率について,「会員証」は無償で配布すべきではないか,「ORCA運営費」と総研事業特別会計の「ORCA開発費」との関連性,会費のうち保険料相当部分を直接,医賠責事業特別会計で収納してはどうか─などである.それぞれについて,宮坂常任理事が説明を行った.慎重審議の結果,委員長が付託議案を一括して採決し,原案を全員一致で承認した.

予算委員会
治験促進センター予算承認

予算委員会 一方,予算委員会(定数二十五名,一名欠席)では,第五号議案「平成十五年度治験促進センター事業特別会計予算の件」について審議が行われた.
 委員長に凌俊朗委員(佐賀県)を互選した後,協議に移り,まず,星北斗常任理事が治験促進センターの設置に至る経緯などについて概説.また,予算の中身については,(1)収入(約六億円)は国庫からの補助金であること(2)支出のうち,研究事業費(治験そのものに係る費用)に約四億円,業務費(センターの運営費)に約二億円を当てる予定であること―などが説明された.
 質疑では,委員から,すでに各地域で実施している治験事業との関係を問う質問や,センターの事業や組織体系についてもっと具体的なものを示すべきであるとの指摘があった.これに対して,星常任理事は,「現在,作業を進めているところであり,決定次第,日医ニュース,ホームページなどを使って,会員に情報を提供したい」と回答した.
 その後,第五号議案については,全員一致で原案を承認した.

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