日医ニュース
日医ニュース目次 第1040号(平成17年1月5日)

年頭所感
日本医師会長 植松治雄

年頭所感/日本医師会長 植松治雄

 平成十七年の初春を迎えるに当たりまして,皆様に心からお慶び申し上げます.
 昨年四月の会長就任以来,参議院議員選挙,八月の臨時代議員会における「事業計画」および「当初予算」の一部見直し等,皆様のご理解のもと,無事実行することができました.
 十月には,三十年ぶりに「二〇〇四年世界医師会東京総会」が開催され,世界四十一カ国から五百名が東京に参集しました.学術集会では,「先端医療と医の倫理」「ITの進歩と医療」をテーマとして,世界各国の医師が熱心に討議を行いました.私は開催国医師会長として,「今,医療に求められるもの」と題して講演を行い,医療に求められる最大のものは,安全と質の高い医療の提供であることを訴えました.また,この「東京総会」で特筆すべきことは,日医主催の歓迎レセプションに天皇皇后両陛下のご臨席を賜ったということです.両陛下は,海外からの参加者と親しくお言葉を交わされ,参加者の大変感銘を受けている姿が印象的でした.
 規制改革・民間開放推進会議は,昨年夏,民主導の経済社会の実施を口実に,混合診療の解禁・株式会社の参入を提言しました.それを受けた形で,小泉総理が,混合診療の解禁の年内取りまとめを指示したことによって,急に周辺が慌ただしくなりました.
 そこで,日本の医療を守るために,医療関係者と国民が一緒に行動する「国民医療推進協議会」を設立させました.私が協議会会長としてお世話をさせていただくことになり,まず,当面の課題として,国民皆保険制度を堅持していくために,地域集会と署名運動を実施し,国民運動として医療改悪阻止を図りました.地域集会につきましては,四十七都道府県において開催され,署名は約六百万人分が集まり,それらの署名は衆・参両議院議長宛に請願として提出しました.その折,与党議員の約八割が紹介議員となってくださいました.その結果,いわゆる「混合診療」問題に係る基本的合意が,厚生労働大臣と内閣府特命大臣との間でなされ,混合診療の解禁は阻止することができました.ただ,中医協の問題など,具体的に対応しなければならない多くの課題が残っております.
 さらに,本年の課題としては,「医療の安全確保のための具体的方策の検討」および「生涯教育のさらなる推進」が挙げられます.後者は,医療の質の向上および医療安全のために,会員の生涯教育をさらに充実し,これを見える形で国民に示し,医療への信頼を築くことを目的としています.この他,三位一体改革や介護保険制度の見直しなど問題は山積しておりますが,診療報酬に関わる問題点の抽出なども見据えて,新たに,「社会保険診療報酬検討委員会専門部会(仮称)」を設置して適切に対応していきたいと思います.
 皆様の深いご理解とさらなるご支援をお願い申し上げますとともに,本年が国民にとって明るい展望が開ける年となりますことを祈念し,新年のごあいさつといたします.

このページのトップへ

日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved.