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第1062号(平成17年12月5日) |
女性医師バンクへの期待
医師国家試験の合格者に占める女性の割合は年々増加し,今や新人医師の三人に一人が女性という状況にある.そのようななかで,出産,育児に伴う離職等,女性医師が抱える諸問題への対応は喫緊の課題となっている.
日医では,昨年,会内に設置した女性会員懇談会を中心として,これらの問題に関する検討を続けているところであるが,本年七月には,その一環として,「第一回男女共同参画フォーラム」を開催,活発な議論が行われた.また,懇談会では,各地域の医師会の女性医師問題に対する取り組み状況等を把握するために,アンケート調査を実施することとなり,十一月十六日には調査用紙を都道府県医師会宛に送付した.
一方,厚生労働省は,この問題に関連して,来年度の概算要求に女性医師バンク(仮称)の創設のために一億四千万円を盛り込んだ.
日医としては,その運営を本会に委託するよう,目下働き掛けをしているところだが,実施される事業内容としては,以下のようなことが考えられている.
東京と大阪を拠点として,女性医師バンクを開設,日医のなかにメインバンクを置いて,再就業を希望する女性医師への職業の斡旋を行う.
具体的には,各医学会,各病院団体,そして,日本女医会等の協力を得ながら,女性医師に関するデータベースシステムを構築するほか,女性医師の採用を希望する医療機関の情報収集を行う.そのうえで,就業希望条件が合致した女性医師に対しては,当該医療機関を紹介し,採用に至るまでのフォローを行うこととする.
加えて,女性医師の就労紹介の際には,専任コンサルタントによる,きめ細やかな相談事業を展開する予定であり,各関係者と緊密な連携を取りながら,日医がその中心的な役割を果たしていく覚悟である.
現在,各地域で医師不足が問題となっており,特に,小児科,産科,麻酔科などでは深刻化しているが,これらの問題解決のために,このバンクが果たす役割は大きいのではないだろうか.
また,将来的には,このバンクを発展させ,医師全体のバンクとし,リタイアした医師などに登録してもらうことで,へき地などの医師不足の解消にもつなげていけるのではないかと考えている.
いずれにしても,日医としては,引き続き,問題解決に向けた取り組みを積極的に進めていくことにしている.
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