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第1076号(平成18年7月5日) |
「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」の制度化に向け,プロジェクト委員会を設置
(6月20日)
木下勝之常任理事は,六月二十日の記者会見で,日医が,「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」の制度化に関するプロジェクト委員会を設置したことを明らかにした.
木下常任理事は,まず,世界的には,ニュージーランド・スウェーデンなどの無過失補償制度実施国があるものの,わが国の医賠責保険制度では,事故が起きたとき,医師が“有責”の場合のみ保険適用となり,医師に責任のない“無責”のケースでは,障害・死亡ともに賠償金は一切受け取れないのが現状であると説明.
そこで,日医では,障害者救済の視点から,すでに,「医療に伴い発生する障害補償制度検討委員会(プロジェクト)」で検討,本年一月,「医療に伴い発生する障害補償制度の創設をめざして」という答申をまとめた.これを受けて,今回,答申のなかで,現在,最も問題になっている「分娩に伴って生ずる脳性麻痺」に対する補償制度の実現を図る目的で,プロジェクト委員会を立ち上げたもの.来年の通常国会への提出を目指し,今後,対象・補償額・基金・制度運用方法等,具体的な制度の内容を詰め,七月末を目途に結論をまとめて,国に働き掛けていきたいとの考えを示した.
木下常任理事は,「この制度化は,障害者救済を第一に考えたものだが,ひいては,(一)医師患者間の信頼関係構築,(二)少子化対策,(三)患者さんの経済的・精神的負担の軽減,(四)減少する産婦人科医への支援─等にもなるので,国の社会保障制度の一環と考えて欲しい」と述べ,実現へ向けての協力を報道各社にも要請した.
その他,当日は,羽生田俊常任理事から第一回都道府県医師会長協議会の内容について説明があった.
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