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第1088号(平成19年1月5日) |
日本医学会
産婦人科医の逮捕・起訴問題で声明を発表
日本医学会は,昨年二月に業務上過失致死と医師法第二十一条違反で逮捕された福島県の産婦人科医の初公判が,本年早々にも行われることを踏まえて,十二月六日付で声明を発表した.
声明のなかでは,今回の前置胎盤と術中に判明した予測困難な癒着胎盤が重なった事例について,「担当医が懸命な努力をしたにもかかわらず,医師不足や輸血用血液確保の困難性,地域における医療体制の不備がもたらした不可抗力的な事例で,日本における医療の歪みの現れと言わざるを得ない」と強調.「むしろ過酷な環境を放置し,体制整備に努力しなかった行政当局こそ,その非を問われなければならない」と,今回の行政当局の対応を問題視した.
また,医師法第二十一条違反とされていることについても,異状死の定義が定かでないにもかかわらず,それを根拠に逮捕に踏み切ったことを問題視.今回の逮捕によって萎縮医療が促進され,医療の平等性・公平性のみならず,医学・医療の発展そのものが阻害されることに憂慮を示した.
同日記者会見を行った高久史麿日本医学会長は,(一)日本整形外科学会,日本周産期・新生児医学会,日本消化器外科学会,日本超音波医学会,日本小児神経学会などから今回の件を批判する声明が出され,日本医学会からも同様の趣旨の声明を出して欲しいとの要望があったこと,(二)この要望を踏まえて,日本医学会の協議会で討議し,声明を出すことにしたこと―など,ここに至った経緯を説明(写真).今後については,「日本医学会としても委員会を早期に立ち上げ,日医や他の団体における議論も参考にしながら,異状死の問題に対する日本医学会としての見解を取りまとめたい」と述べた.(声明文の全文については,日本医学会ホームページhttp://www.med.or.jp/jams/を参照)
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