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第1090号(平成19年2月5日) |
中医協(1月17日)
竹嶋副会長提案で7対1入院基本料に関する建議書の提出を合意
中医協総会が,一月十七日,厚生労働省で開催され,昨年に引き続き,平成十八年度診療報酬改定の影響,特に七対一入院基本料の問題についての議論が行われた.
当日は,日医,全国自治体病院協議会,日本看護協会から,看護職員の需給に関する調査資料がそれぞれ提出された.
日医の「看護職員の需給に関する調査─二〇〇六年十月調査─(速報版)」については,鈴木満常任理事が説明.調査は,全国三千百八十五病院と全看護学校養成所を対象とし,二千九十一の病院(回答率六五・七%:全国の病院の二割以上をカバー)と千十四の看護学校養成所(回答率七七・四%)から回答を得た.
同調査によれば,特定機能病院を含む一般病棟のうち「七対一入院基本料」を届け出たところは,昨年五月一日時点で病院五・〇%,病床六・九%だった.しかし,十月末時点では,それぞれ一〇・六%,一三・一%に増加したことから,このペースで進めば二〇〇六年度末には二〇%を超えると予測.加えて三百床以上の病院で,二〇〇九年度中に病床の六割を「七対一入院基本料」にすることを予定しており,看護配置基準達成のためだけの病床数の削減も予想されることから,今後一年半で約二万床が削減されると予測している.
また,仮に,すべての病院が看護配置基準を予定どおりに引き上げた場合,二〇〇八年四月までには約七万人の看護師・准看護師増が必要になるが,現状の就業者増は年約三万人のため,民間中小病院や診療所では深刻な不足が危惧される.
鈴木常任理事は,これらの調査結果から,(1)看護配置基準の引き上げは,段階的に行うよう方向修正すべき(激変緩和)(2)早急に准看護師養成策を見直すべき─の二点を課題として強調した.
また,竹嶋康弘副会長は,医療現場の混乱は,これまでの議論で明白だと指摘.平成十八年度診療報酬改定の「急性期入院医療の充実」という方向性は正しいものの,予測に反し,現場が思わぬ方向へ行ってしまったとして,「地域医療を崩壊させないためにも,七対一入院基本料に関して何らかの条件を設定すべきである」と述べ,中医協として厚生労働大臣に建議することを提案した.
これに対し,各側委員も賛意を示し,建議書を提出することで合意.今後,診療報酬基本問題小委員会で案を作成し,総会に諮ることになった.
なお,当日午後,日医会館で行われた記者会見で,中川俊男常任理事が,改めて同調査の詳細を説明.中医協で合意された建議書の内容については,今後の中医協での議論だとしながらも,「偏在があれば是正すべきであり,何らかの要件の新設があるのではないか」と述べ,看護の必要度として,救急医療や産科医療なども選択肢の一つになるとの見解を示した.
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