日医ニュース
日医ニュース目次 第1091号(平成19年2月20日)

日医定例記者会見

1月31日
「第2回日本の医療に関する意識調査」の結果概要について

 中川俊男常任理事は,医療提供側である医師と,受け手側の国民,患者の医療に関するニーズや課題,意識の違いなどを調べた,「第二回日本の医療に関する意識調査」の結果を概説した.
 調査は,日医の政策立案に反映させる目的で定期的に実施しているもの.分析は,日医総研が担当している.
 調査対象は,(一)国民調査:住民基本台帳から抽出した,満二十歳以上の男女二千人,(二)患者調査:対象五十医療機関を受診した,満二十歳以上の男女千人,(三)医師調査:日医会員名簿から抽出した三千人―で,有効回答数は,国民調査千三百六十四人,患者調査九百七十九人,医師調査千二百八十八人.
 国民調査の結果を見ると,「受けた医療」について「満足」「やや満足」と回答したのは,全体の八三・六%だった.これに対して,「日本の医療全体」に「満足」「やや満足」と回答した割合は五一・二%に止まり,「受けた医療」と「日本の医療全体」では,「満足」と感じる基準が異なることが明らかになった.そのため,「医療の満足度の議論においては両者を区別すべきだ」と指摘している.
 「受けた医療」と「医療機関への受診時期」の関係を見ると,受診時期が近いほど,満足度(「満足」「やや満足」の回答割合)が高く,時間の経過とともに低下することも分かった.“かかりつけ医”の有無でも,満足度に違いが見られた.“かかりつけ医”がいる国民は,九二・五%が受けた医療に満足しているが,“かかりつけ医”がいない国民では,七〇・七%に下がる.
 「“かかりつけ医”がいる」と回答した国民は,全体の五五・三%で,高齢になるほど“かかりつけ医”のいる割合が高い.「“かかりつけ医”のいる医療機関」では,「診療所」が三分の二,「病院」が三分の一であった.七十五歳以上では,約半数が病院に“かかりつけ医”を持っており,“かかりつけ医”へのかかり方は多様であることが示された.
 “かかりつけ医”への要望では,「必要な時はすぐに専門医等を紹介する(八九・一%)」「どんな病気でも,まずは診療できる(八三・二%)」「生活習慣病などの予防のための助言(七八・〇%)」が上位を占めている.
 一方,今回の調査では,医師,国民,患者の意識の違いを探るため,三者に対して「患者一人ひとりの性格や立場,本人の希望といった個別状況に応じた医療が行われているか」を質問した.これに対して,「そう思う」「まあそう思う」と回答したのは,国民五四・八%,患者七二・九%,医師九二・七%.特に,国民と医師の意識に大きなギャップがあることが分かった.
 医師調査では,「より良い医療に必要な改革・環境整備のために何が必要か」との問いで,「診療報酬の増額」「国民と医師の信頼関係の向上」「医療行為以外の業務の軽減」が上位を占め,いずれも六割を超えた(複数回答).
 同常任理事は,「現場の医師は疲弊し,患者への説明にも不安を持っている.患者のためにも,医師が診療に専念できる環境整備等が必要である」と述べた.
 なお,調査結果(全文)は,日医総研のホームページ(http://www.jmari.med.or.jp/)を参照.

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