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第1094号(平成19年4月5日) |
感染症危機管理対策協議会
感染症をめぐる最近の動向等について報告
感染症危機管理対策協議会が,三月八日,日医会館小講堂で開催された.
協議会は,飯沼雅朗常任理事の司会により開会.冒頭,唐澤人会長は,「昨年五月の『子ども支援日本医師会宣言』のなかで,子どもが育ちやすい医療環境として,予防接種の充実と接種率の向上を掲げた.また,本年四月一日から,結核予防法は感染症法と統合されるが,結核対策が後退しないように注視したい.日医に感染症危機管理対策室を設置して十年になるが,国民の生命・健康を守るため,新型インフルエンザの発生などに対しても,さらに万全の体制を整えたい」とあいさつした.
つづいて,(一)感染症危機管理対策室長の飯沼常任理事から「感染症対策をめぐる最近の動向」,(二)三宅智厚生労働省健康局結核感染症課長から「感染症法をめぐる最近の動向―感染症法の改正,新型インフルエンザ対策―」,(三)関英一厚労省医薬食品局血液対策課長から「ワクチン産業ビジョン」―について,それぞれ報告があった.
(一)では,子ども予防接種週間,日本脳炎の予防接種,DPT(三種混合ワクチン)の接種間隔,感染症法の改正,市民公開講座のDVD配布,肝炎対策の問題等について解説.そのなかで,三月一日から一週間,全国で展開された「子ども予防接種週間」は好評であり,昨年は八万人の接種が行われたこと,日本脳炎予防接種については,急性散在性脳脊髄炎を発症させないような改良型のワクチン精製が少し遅れていること等の説明があった.
また,DPTの接種間隔について,飯沼常任理事は,「予防接種実施規則により三〜八週間間隔と定められているが,市町村レベルで独自に八週間以後も認めている地域もあるので行政と相談して欲しい」と述べた.
(二)では,感染症法における一類から五類感染症の分類,および分類ごとの医療提供体制等について解説があった.
また,感染症法の主な改正事項としては,(1)生物テロや事故による感染症の発生・まん延を防止するための病原体等の管理体制の確立(2)最新の医学的知見に基づく感染症の分類の見直し(3)結核を感染症に位置付けて総合的な対策を実施する―などが挙げられた.
感染症の発生状況および動向の把握については,症候群サーベイランスを立ち上げ,三十八度以上の発熱があり呼吸器症状のある人や,発疹水疱のある人をチェックすること,また,結核患者の届出については,「診断後二日以内」から「診断後直ちに」と変更になったことなどの説明があった.
鳥インフルエンザに関しては,現在,中国,インドネシア等で二百七十七名が発症,うち百六十七名が死亡しており,フェーズ四(ヒトからヒトへの感染)以降も考慮してガイドラインを策定中であると述べた.
(三)では,各種ワクチンの供給と開発について解説があった.インフルエンザワクチンの製造量は,平成六年以降激減したものの,平成十三年に予防接種法に位置付けられてからは,著明に増加していることや,新しいワクチンの開発において,日本が欧米に比べ遅れていることを例に挙げ,今後のワクチン産業ビジョンの要点について説明した.
協議では,参加者から活発な質疑応答があった.
最後に,岩砂和雄副会長が総括し,閉会した.なお,参加者は百四名.
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