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第1098号(平成19年6月5日) |
都道府県医師会医療問題担当理事連絡協議会
地域の実態を踏まえた医療計画の策定に向けて
左から,竹嶋副会長,天本・内田・中川各常任理事 |
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平成十九年度都道府県医師会医療問題担当理事連絡協議会(緊急)が,五月十一日に日医会館大講堂で開催された.
本協議会は,地域の実態を踏まえた医療計画を策定してもらうことを目的として,都道府県医師会の医療保険,介護保険,地域医療の各担当役員を集めて,急遽開催されたものである.
冒頭あいさつした唐澤人会長(宝住与一副会長代読)は,厚生労働省の医療構造改革推進本部が取りまとめた作成資料「医療政策の経緯,現状及び今後の課題について」に言及.医療費抑制を基本とする厚労省の方針が示されたもので,決して容認することはできないと批判するとともに,今後もフリーアクセスや国民皆保険制度を脅かす政策が打ち出された際には迅速に対応していくとの考えを示した.
その後,三人の常任理事から,厚労省の作成資料に対する日医の考え方について,説明が行われた.
天本宏常任理事は,今回の療養病床の再編問題について,「受け皿を整えることなく,老健施設での医療のあり方も検討されずに財政削減の視点からのみ行われたものである」と批判.病床数は地域のニーズや実情に基づいたものでなければならないと指摘した.また,同常任理事は国立社会保障・人口問題研究所のデータを用いて,二〇二五年以降も九十歳以上の高齢者が増加し続けることを説明し,「このことからも,今後,医療療養病床の必要性が高まることは明らかだ」と強調した.
内田健夫常任理事は,第五次医療法改正のポイントを説明.医療連携体制の構築のためには地域の医療体制を代表する地域医師会が中心的な役割を果たす必要があると述べるとともに,厚労省が実施している医療連携体制推進事業の積極的な活用を求めた.
病床の今後のあり方に関しては,患者が病床区分の狭間に陥ることのないよう,良質かつ適切な入院医療を確保するという視点が重要だと指摘.また,厚労省が考える医師確保策(マグネットホスピタル構想やへき地等での診療の義務付け)については,明確に反対の姿勢を示した.
中川俊男常任理事は,日医が三月に取りまとめた『グランドデザイン二〇〇七』の内容を説明.一方,厚労省の作成資料については,これまでの政策の失敗に対する反省もなく,問題のある記述も多いと批判.
各医師会には,今後,国の言うことを鵜呑みにするのではなく,医療現場との緊密な連携によって,地域の実情を反映した計画を策定するよう行政に対して要望することを求めた.
その後の質疑では,フロアから,医師不足への対応を問う質問や地域ケア整備計画作成に当たっての日医のフォローアップを求める意見などが出され,三人の常任理事がそれぞれ回答した.
最後に総括した竹嶋康弘副会長は,「今後も日医が独自に試算したデータを基に,医療療養病床の必要性を訴えていく」と述べるとともに,地域ケア整備に関する計画の策定の際に,行政との摩擦が生じた場合には,いつでも日医に相談して欲しいと呼び掛けた.
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