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第1098号(平成19年6月5日) |
第176回世界医師会(WMA)中間理事会開催される
―岩砂副会長が理事会副議長に再任―
第百七十六回世界医師会中間理事会が,五月十日から十二日まで,ドイツのベルリンで開催され,唐澤人会長,岩砂和雄副会長,石井正三常任理事ならびに畔柳達雄参与が出席した.
今回の理事会は,昨年末の地域理事選挙後,初めての会合となった.この理事会には,三十二医師会から約九十名,他にオブザーバー三団体が参加.唐澤会長,岩砂副会長,石井常任理事のほか,二十一名の理事就任(任期:二〇〇七年から二〇〇九年)が承認された.
理事会役員選挙では,議長にアメリカ医師会のHill氏(新任),副議長に岩砂副会長(再任),財務担当役員にドイツ医師会のHoppe氏(再任)をそれぞれ選出.また,常設委員会委員長として,医の倫理委員会はスウェーデン医師会のBågenholm氏(再任),社会医学委員会はブラジル医師会のAmaral氏(新任),財務企画委員会はイギリス医師会のJohnson氏(新任)がそれぞれ選出された.
なお,唐澤会長は医の倫理と社会医学,岩砂副会長は財務企画と社会医学,石井常任理事は医の倫理と財務企画の委員にそれぞれ任命され,畔柳参与が医の倫理と社会医学委員会のアドバイザーとなった.
また,五月九日には,岩砂WMA副議長を含むWMA役員による役員打ち合わせ会が開催され,WMAの基本的な政策に関する検討が行われた.
理事会における議事内容などの概要は,以下のとおりである.
(一)財務企画関係
(1)二〇〇八年韓国での総会開催が承認された.
(2)広報関係では,WMJ(WMAの機関誌)の内容を充実するための改訂について検討を行い,今後,アメリカ医師会(AMA)を中心とした作業部会でその内容を詰めていくことになった.また,改訂された日医のJMAジャーナルがWMAで高い評価を受けたことから,日医もこの作業部会に参加することになった.
(二)医の倫理関係
(1)コメントを求めるため,各国医師会に回付する文書
「遠隔医療の倫理に関するWMA声明案」「移植用ヒト組織に関するWMA声明案」
(2)作業部会で検討する文書
「幹細胞研究に関するWMA声明案」
(3)「ヘルシンキ宣言」の改訂
二〇〇八年のWMA総会に向けて作業部会を設置して,改訂作業を進めることが決定し,日医もこの作業部会に参加することになった.
(4)既存文書の整理で,三件の声明等を見直すことになった.
(5)「ラテンアメリカとカリブ地域の医師会を支援するためのWMA理事会決議案」が緊急上程され,採択された.
(三)社会医学関係
(1)コメントを求めるため,各国医師会に回付する文書三件が決定された.
(2)総会へ付託する文書
「騒音公害に関するWMA声明修正案」
(3)既存文書の整理で,四件の声明等を見直すことになった.
(4)既存の宣言,声明文書の幅広い広報の仕方について,今後作業部会をつくって検討していくことになった.
なお,唐澤会長ら日医役員は,会期中にアメリカ,ドイツ,韓国,台湾の各医師会幹部らと個別に懇談の場を持ち,医療制度などについて意見交換を行った.
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