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第1098号(平成19年6月5日) |
第1回都道府県医師会「公益法人制度改革」担当理事連絡協議会
公益法人制度改革をめぐり講演やパネルディスカッションを開催
第一回都道府県医師会「公益法人制度改革」担当理事連絡協議会が五月十七日,日医会館大講堂で開催され,公益法人制度改革の概要や,その対応をめぐり講演やパネルディスカッションが展開された.
冒頭,あいさつに立った唐澤人会長は,「公益法人制度改革は,すべての公益法人組織の根幹に関わる大変重要な問題」との認識を示したうえで,「日医では,改革への対応を検討すべく十八年度より定款・諸規程検討委員会を常設し,五月十五日開催の第二回理事会で公益社団法人を目指す方針を決定した.日医をはじめ,全国の医師会組織が円滑に法人格の取得を行えるよう,今後は都道府県医師会,郡市区医師会とさらなる連携協力を図りたい」と開催趣旨を説明した.
つづいて,内閣府公益認定等委員会事務局の梅澤敦企画官が「公益法人制度改革について」と題して講演し,改革の概要やスケジュールを解説した.
公益法人については,従来の主務官庁制・許可主義が廃止され,登記のみで設立できる制度等が創設されることとなっており,二十年十二月ごろに新制度が施行されるが,現行の公益法人には五年間の移行期間内に手続きを行うことが求められている.移行先は登記のみで設立できる「一般社団・財団法人」もしくは,行政庁に公益性を認定されることを条件に一定の税優遇等を受けられる「公益社団・財団法人」のいずれかから選択することになり,移行期間中に移行しない法人は解散したものとみなされる.
公益性は,民間有識者による「公益認定等委員会」が審査するが,公益目的事業を行い,その事業比率を百分の五十以上とし,残余財産を他の公益法人に贈与する旨を定款で定めるなど,一定の基準が求められる.
梅澤企画官は公益法人のメリットについて,「社会的な信用が向上し,税優遇が受けられる.具体的な内容は十二月の税制改正で固まるが,法人税や寄付した側の寄付優遇が主なもので,各法人にとって必要度が高いかどうかで認定を受けるメリットの度合いが変わるだろう」とする一方,一般法人のメリットとしては,一般事業活動や法人運営の自由度の高さを挙げ,現行の公益法人が一般法人に移行する場合の「公益目的支出計画」についても説明した.
また,同企画官は,スケジュールを踏まえた対応の検討を要請するとともに,今年度中には制度運用指針(ガイドライン)を定める方針を示した.
午後には,財団法人公益法人協会の太田達男理事長が「医師会組織に求められる『公益法人制度改革』への対応」と題して講演を行い,新制度の概要や公益認定取得のポイントなどを解説.公益目的事業が学術,技芸その他の公益に関する事業であり,不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものと定義されることから,日医の定款を例に,医師会事業は公益目的事業に十分該当するとの見方を示したうえで,公益目的事業と認められるか問題になる事業として,日医においては医師年金事業,医師賠償責任保険事業,ORCA事業,郡市区医師会においては共同利用施設運営事業,会員福祉共済事業を指摘した.
これからなすべきこととしては,移行先法人類型の選択や移行時期の目安とスケジューリング,新法適合状況の精査と日医への情報集約を掲げた.
パネルディスカッションは,「公益認定基準と医師会事業について」をテーマに行われ,座長は今村聡常任理事,パネリストは前出の太田氏と,米盛學定款・諸規程検討委員会委員長,手塚一男日医参与・弁護士,山昌茂公認会計士―の四氏.
米盛氏は定款・諸規程検討委員会の検討状況を説明したうえで,今後,さまざまなケースをシミュレーションし報告していくとした.手塚氏は改革の意義を述べるとともに,単なる税務上の損得ではなく,今の時代のなかでどういうガバナンスが求められているかを見直す機会とするよう要望.山氏は財務関係の主な認定基準を解説し,公益法人の認定を取り消された場合,一般法人に持ち越せる遊休財産が少ないことから存続が厳しくなるとして慎重に対応するようアドバイスした.
質疑応答では,各都道府県医師会から公益目的事業に該当するかどうかの質問が相次ぎ,パネリストがそれぞれ回答した.
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