日医ニュース
日医ニュース目次 第1099号(平成19年6月20日)

日医定例記者会見

5月23日
厚労省の「総合科」構想に対し再度の反論

日医定例記者会見/5月23日/厚労省の「総合科」構想に対し再度の反論(写真) 厚生労働省の「総合科」構想に対して,日医では,すでに断固反対の姿勢を表明している.
 中川俊男常任理事は,五月二十一日開催の医道審議会医道分科会診療科名標榜部会で「総合科」構想の議論が開始されたことに関連し,再度,強く反論した.
 同常任理事は,日医が,総合的な診療能力を有し,地域の医療・保健・福祉を担う医師の必要性を認識しているとして,日医の考えと取り組みについて,以下のように説明した.
 最新の医療情報を熟知し,必要があれば専門医を紹介でき,身近で頼りになる総合的な診療能力を持った医師が求められており,日医では,これらの医師を養成するためのシステムや生涯教育カリキュラムを,会内の学術推進会議,生涯教育推進委員会で検討中である.
 さらに,日医は,日本プライマリ・ケア学会,日本総合診療医学会,日本家庭医療学会の三学会と共同で,独自の養成プログラムを検討中であり,学術専門団体として,これらの医師の養成に取り組んでいる.
 同常任理事は,このような状況下で,厚労省が一方的に創設を考えている「総合科」は,開業医を単なる“ゲートキーパー”として扱おうとするものであり,断じて容認できないと改めて主張.
 そのうえで,「拙速な『総合科』の創設を避け,十分かつ慎重な検討の下に,地域医療・保健・福祉を担う,総合的な能力を有する医師の養成を進めるべきである」と述べた.
 さらに,「総合科」の問題点として,次の三点を指摘した.
 (一)初期診療を「総合科」に限定することになると,患者から,自由な医療機関選択の権利を奪う.
 (二)地域の住民が信頼を寄せている医師が,必ずしも「総合科」を標榜することになるわけではなく,アクセスポイントが減少することになり,信頼している医師を受診できないことが,受診抑制につながる.その結果,地域格差も広がりかねない.
 (三)国が「総合科医」という,新たな認定医制度を設置することで,官僚の権益が拡大する.ひいては,地域の医療提供体制全体の管理統制にもつながる.
 同常任理事は,医道審議会の部会で示された厚労省案で,「総合科医」が「麻酔科医」と同様に,「国の個別審査によって標榜医資格を付与する」とされている点を問題視.
 これが,「在宅主治医制度」や「人頭払い制」など,今後の医療費抑制策の布石になるとの警戒感を示し,「総合科」の創設が,結果として,フリーアクセスの崩壊につながるだろうと強調した.

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