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第1099号(平成19年6月20日) |
(3)
保険者との契約に当たって―基盤整備―
今後,特定健診・特定保健指導の実施に向けて,保険者は実施機関との契約に具体的な取り組みを進めることになり,医師会ともさまざまな協議が必要になってくる.国保の健診に関しては,従来の老人保健法に基づく基本健康診査と同様に,診療報酬を参考とした契約が結ばれることが望まれる.都道府県医師会で取りまとめに当たっていただければ,事業が円滑に進むと考えている.また,健保等に関しても,都道府県ごとに取りまとめを行う代表保険者と地域医師会や都道府県医師会との間での集合契約が結ばれることが望まれる.特に被扶養者への対応をどうするのかが焦点になる.
最大の問題は,健診受診者や要医療で医療機関での治療が必要な人が大幅に増加することである.健診受診率が二〇%上がると,受診者は約千二百六十万人増加する.
実際に従来健診を受けていない人を対象にした場合には,血糖,血圧,その他項目も含めると,受診勧奨者は二五%程度というデータも出されている.
このことを考えると医療機関において,対応可能な体制の整備は急務である.医療機関における健診受託,および医療提供のキャパシティーがどの程度あるのかを正確に調査,把握する必要がある.
平成二十年度の実施から,いきなり健診受診者が二〇%増になるわけではないが,将来を見据えた医師会全体での取り組みを進める必要があると考えている.地域特性がある課題であるので,都道府県医師会が主体となり,情報の収集と提供に努めていただきたい.
次に,保健指導に関してであるが,実施者の要件は別表のように規定されている.特に医師が保健指導に当たる場合は,初回個人面接の二十分について,時間確保ができないとの意見がある.しかし,保健指導対象者にとって,医師による指導は動機付けの点でも,指導内容の決定においても最も重要であると考えている.医師がはじめに対応した後,保健師や管理栄養士につなぐこと,および今後さまざまな保健指導のソフトが開発されることが予想され,これらを活用することが,現実的で有効な取り組みになるであろう.また,一定の研修について,厚生労働省では十五時間程度(実践者九時間)の研修プログラムを提示しているが,あくまで望ましいというものであり,必須ではない.医師,健康スポーツ医,産業医等について,どの程度の研修が必要かについても今後検討したいと思う.
(常任理事・内田健夫)
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