|
第1099号(平成19年6月20日) |
不払い
「生保不払い三百五十九億円」「損保不払い二百九十四億円」「学校給食費未納額二十二億円」「未収金三年間で八百五十三億円」
生保・損保会社で発覚した不払いは六十万件を超え,さらに増えるようだ.
保険会社は顧客から請求されないのをいいことに,不払いを続けるという詐欺まがいのことを行ってきた.交通事故診療における自賠責保険においても,被害者の救済よりも任意保険に食い込まないように治療費を削ることに専念している.社会的責任など,かけらもない.
全国の小・中学校の児童・生徒の一%,十万人近くが給食費を滞納しているとのことである.経済的な問題で払えない家庭は三三%で,六〇%は保護者としての責任感や規範意識の欠如によるものであるという.
経済至上主義が,儲かれば何をしてもいいという風潮を生み出してしまった.実に嘆かわしいことである.
「2ちゃんねる」の管理者が,訴訟で確定した賠償金を払わない理由を聞かれて,「支払わなければ死刑になるのなら支払うが,支払わなくてもどうということはないので支払わない」と答えたそうである.
もはや倫理観に救いを求める時代は終わり,恥の文化はすでに死語になったようだ.寂しい限りである.
医療機関の未収金問題は確信犯的な患者も存在するであろうが,最近では個人負担が多くなり,年金では払えない患者が増えているようである.このような“医療難民”に対する国の責任は追及されなければならないであろう.
国は営利企業ではないのだから.
(賭)
|