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第1100号(平成19年7月5日) |
唐澤会長
「経済財政改革の基本方針2007」に対する日医の見解を表明
政府は,六月十九日に経済財政諮問会議が取りまとめた「経済財政改革の基本方針二〇〇七」,いわゆる「骨太の方針二〇〇七」を閣議決定した.
安倍内閣発足後,初めて取りまとめられた基本方針には,医療・介護サービスの供給コストの低減を図ることを目的とした「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」や医師不足を解消するための緊急対策等が盛り込まれた.また,平成二十年度予算については,引き続き「基本方針二〇〇六」に則り,最大限の削減に取り組むとされている.
これを受けて,六月二十日に記者会見した唐澤人会長は,「基本方針には医療を提供していくうえでの財源的な配慮など,細かな部分の記載がない」と指摘.その一方で,「記載がないということは,日医の意見を組み入れる余地が残されているということだ」と述べ,医療のあるべき姿を取り戻すために,日医が今後も現実に見合った政策を考え,公表していくことが大事になるとの考えを示した.
また,唐澤会長は,基本方針の原案の段階で,素案時点ではなかった,「機械的に五年間均等に歳出削減を行うことを想定したものではない.それぞれの分野が抱える特殊事情やすでに決まっている制度改革時期とも連動させ」という表現が追加されたことに言及.現在進行しつつある「制度改革」が若干見直されているのではないかとの見方を示した.しかし,平成二十年度予算については,「国,地方を通じ,引き続き『基本方針二〇〇六』に則り,最大限の削減を行う」との表現もあることから,今後も概算要求に向けて必要な財源が確保できるよう,強い姿勢で取り組んでいくと述べた.
「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」等の推進が織り込まれていることに関しては,同プログラムに示されている数値目標は,妥当な根拠もなく,医療費抑制のみを狙ったものだと批判.このまま数値目標が独り歩きし,現場の実態にそぐわない地域医療計画が策定されれば,医療の管理強化,フリーアクセスの崩壊につながりかねないとし,今後は厚生労働省に対して,その見直しを求めていくとした.
さらに,唐澤会長は,基本方針が閣議決定される前に,都道府県医師会の協力も得ながら,関係各位に対して働き掛けを行った結果,「レセプトオンライン請求」の部分には「環境整備を図りつつ」との表現が,また「医師と他の医療従事者の間の役割分担の見直し」の部分には「業務範囲,責任の所在等」も含めて実施していく旨の表現が,それぞれ追加されたと説明.その成果を強調した.
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