日医ニュース
日医ニュース目次 第1100号(平成19年7月5日)

平成19年度 都道府県医師会地域医療担当理事連絡協議会
厚労省が医療法改正のポイントや今後の地域医療のあり方など説明

あいさつする唐澤会長(右)

 平成十九年度都道府県医師会地域医療担当理事連絡協議会が,六月二十一日,日医会館小講堂で開催された.
 内田健夫常任理事の司会で開会.冒頭,あいさつに立った唐澤人会長は,「医療法は日本の医療提供体制の基盤となる重要な法律である.今回の改正では,医療連携と医師確保という,きわめて重要な課題が主要テーマとなっており,現在も,厚生労働省の『医療施設体系のあり方に関する検討会』などにおいて,今後の医療提供体制の検討が行われている.そこで,今回の医療法改正,将来の地域医療のあり方について協議していただくために,この協議会を開催した」と述べ,活発な議論を求めた.
 議事では,二川一男厚労省医政局総務課長が,今般の医療法改正について,広告規制や医療計画の見直し,医師不足問題への対応,行政処分を受けた医師等に対する再教育の義務化,医療法人制度改革など,項目ごとに改正の趣旨やポイントを解説した.
 同課長は引き続き,今後の地域医療のあり方についても説明し,医師不足問題については,「これまでの,医師は足りているというスタンスは変化してきている」としたうえで,緊急医師確保対策として,医師不足地域に対する国レベルの緊急臨時的医師派遣システムの構築や,女性医師の働きやすい職場環境の整備,研修医の都市への集中是正のための臨床研修病院の定員の見直し,医療リスクに対する支援体制の整備―などを行うとした.
 病院勤務医の過重労働解消のためには,交代勤務制の導入を提案.医師を補助する医療補助者の配置を推進するよう財政的にも何らかの対応をするとし,地域医療を支える病院に対しては,財政的支援を充実させるとした.
 標榜診療科については,表記方法を原則自由化する方針で,内科・外科など「基本的な領域」と,体の部位,症状,治療手技など「スペシャルティー等の部分」を組み合わせる案を厚労省の医道審議会医道分科会診療科名標榜部会へ提出しているが,アレルギー科やリウマチ科は「基本的な領域」にないため,独立した科としてたたき台を修正していくとした.
 標榜科の見直しと併せて提案された総合科の新設については,「現行の麻酔科と同じ仕組みで,一定基準を満たす医師について総合科を標榜できるようにしてはどうかと提案しているが,各界の意見を聞き,十分議論していきたい」と述べた.
 つづいて,内田常任理事が,今般の医療法改正をめぐる日医の方針や取り組みを説明した.今後の主な課題には,医師・看護職員等の確保,医療法人制度改革,療養病床の再編などを挙げ,「医師・看護職員等の確保においては,都道府県の医療対策協議会が非常に大きな役割を果たすが,地域の医師会が主導性を発揮し,地域医療に関するさまざまな対策,具体的な取り組みを展開していただきたい」と述べた.さらに,医療連携体制の構築においても地域の医療体制を代表する地域医師会が中心となるべきだとした.
 質疑では,日医で検討中の認定医の仕組みと厚労省の総合科との違いについて質問があり,内田常任理事は,「総合的な診療能力を持つ医師の養成は国民的要望が高く,関連三学会と連携し,日医が養成する総合医のあり方について検討を進めている.厚労省が提案している総合科は,麻酔科と同じように厚労相が標榜を許可するという制度で,医師免許の二重認定,フリーアクセスの阻害,人頭払いなどの制度につながりかねないものであり,日医としては絶対反対である」と強調した.
 一方,厚労省の二川課長は,「専門医に相当するものとして,厚労大臣の認定があったほうが,先生方に目標として目指していただけるのではないか」と述べ,内容については日医や関連学会で検討したものと十分調整するとした.
 最後に,竹嶋康弘副会長が,昨年四月からの執行部の活動などを説明し,総括とした.

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