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第1101号(平成19年7月20日) |
7月4日
今後の社会保障費のあり方に関する日医の見解を公表
中川俊男常任理事は,政府の社会保障費,特に医療に対する行き過ぎた「改革」(医療費削減)を改めて批判.あるべき医療費の確保に向けて,診療報酬の引き上げを強く求めていく考えを示した.
同常任理事は,「骨太の方針二〇〇六」で,過去五年間(二〇〇二〜二〇〇六年度)の社会保障費削減策(国・地方合わせて一・六兆円)を継続するとされていることについて言及.「すでに決定している主な医療制度改革だけでも,今後五年間(二〇〇七〜二〇一一年度)に約四兆円の医療費の削減が見込まれる.これは政府の社会保障費削減目標である一・六兆円を大幅に上回ることから,医療に関しては行き過ぎた改革から引き返すべきであり,次期診療報酬改定における引き上げを主張していく」と述べた.
また,「社会保障費は,過去五年間,自然増に向かおうとすると抑制されることの繰り返しである.各年度の抑制額の合計は一・一兆円(国庫負担)であるが,そもそも二〇〇一年度に予測された自然増の伸びとの乖離を試算すると,削減額の累計は三・三兆円になり,今後五年間(二〇一一年度まで)を足した十年間では,累計で十二・一兆円の削減になる」と説明(図).
さらに,現在の深刻な医師不足も,過去三回の診療報酬のマイナス改定がその大きな要因になっていると指摘.また,二〇〇七年は,過去最多のペースで医療機関が倒産していることにも触れ,このままの医療費抑制策が続けば,日本の医療は崩壊するとの強い危機感を示した.
そのうえで,日本国民が経済力に見合った安心で安全な医療を受けるためには,GDPに占める総医療費の比率(日本は現在八%)をOECD加盟国平均並みの八・八%にすべきと主張した.
そして,新たな財源としては,これまでも,記者会見等で繰り返し述べているように,国家財政全般の見直し,とりわけ,特別会計の剰余金の透明化を図ることが必要と提言した.
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