日医ニュース
日医ニュース目次 第1101号(平成19年7月20日)

日医定例記者会見

7月4日
健保連の提言に対し日医の見解示す

 中川俊男常任理事は,健康保険組合連合会が取りまとめた「これからの医療提供体制と健保組合の役割(提言)」に対する日医の見解を明らかにした.
 この提言は,健保組合が医療機関等と連携・協力することによって「患者中心の医療」を実現するために,保険者機能のさらなる強化に向けた取り組みをまとめたものであり,六月十四日に健保連から公表された.
 同常任理事は,まず,提言のなかに「医療連携体制の構築や療養病床の廃止・削減の成否は,将来的な医療費水準に大きな影響をもたらすことになる.これらの計画を実効性あるものにするために,医療提供体制の具体的な改革とともに,保険者に対しても重要な役割が求められる」との表現があることについて,保険者として,医療費を抑制しようとの意図があると指摘.この考えは,立場は異なるものの,厚生労働省と同じものだと批判するとともに,「地域医療が混乱している昨今の状況を考えれば,これ以上の医療費抑制による医療崩壊は断じて認められない」と述べた.
 具体的な問題点としては,(一)病院と診療所の所得格差や病院の医療従事者の過密な労働状況等にも配慮しながら,医療費を配分する,(二)「総合診療医(仮称)」の養成や標榜診療科目に「総合診療科」を加える─としていることの二点に言及した.
 (一)については,「勤務医の疲弊は開業医が楽をしているからだ」という誤った考えを前提としていると批判.勤務医の疲弊は,看護師不足と長年にわたる国の医療費抑制策がその原因であること,また,開業医はそれぞれが分担して,地域の保健・医療・福祉活動を担っていることを改めて説明し,理解を求めた.
 (二)に関しては,「初期診療を総合診療医に限定することは,患者から,医療機関を自由に選択できる権利を奪うことになること」「国による新たな認定制度を設置すれば,官僚の権益が拡大され,地域の医療提供体制全体の管理統制につながる恐れがあること」─など,日医がこれまで主張してきた総合診療科,総合診療医の問題点を説明.
 日医は,「総合診療科」を標榜科とすることに引き続き反対していくとの姿勢を示した.

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