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第1101号(平成19年7月20日) |
中医協(6月27日)
次期薬価改定に向けて本格議論が開始
中医協薬価専門部会が,六月二十七日に厚生労働省で開催され,平成二十年四月の薬価改定に向けて本格審議が開始された.
当日は,(一)薬価算定組織からの意見聴取,(二)後発医薬品,(三)次期薬価制度改革主要検討事項,(四)薬価調査─について議論が行われた.
(二)については,厚労省より後発医薬品の承認審査の現状説明の後,日医から昨年五〜七月に,医師を対象として日医ホームページ上で実施した「後発医薬品に関わる緊急調査」結果を報告した.後発医薬品の品質,効果,副作用,安定供給,情報提供に対し,「問題あり」と回答した割合を示すとともに,回答理由についても明らかにした.
特に後発医薬品の品質に対しては,五三・八%の医師が「問題あり」と回答し,その理由として剤形の問題,溶解度・安定性の問題などの意見が挙げられていたこと,安定供給に対しては,六八・五%の医師が「問題あり」と回答し,「採算性等の問題ですぐに製造中止になる」などの意見があったことを説明した.
後発医薬品の使用促進によって医療費削減を進めたい支払側は,「安定供給や情報提供など,問題があるのは理解できるが,品質や副作用について経験や印象を聞くアンケート調査で『問題あり』とする結果を公表することは国民に混乱を招く」と指摘.
これに対し,中川俊男常任理事(飯沼雅朗常任理事の代理)は,「本調査は,TVコマーシャル等によって,『後発医薬品は,有効性,安全性がすべて先発品と同じ』というイメージが助長されている現状に危機感を抱いた現場の医師たちの声を受けて,急きょ日医で調査したものであり,医療現場の生の声を出すことは必要と考える.厚労省は生物学的に同等であると説明するが,なぜこのようなことが現場で起こるのか調査すべきである」と訴えた.
鈴木満常任理事も,「継続供給できない後発医薬品は患者さんに投与できない.現場では信頼性が得られたうえで後発医薬品を使用する」と発言するとともに,後発医薬品に関する,より詳細な調査を実施する意向を明らかにした.
論点整理のために厚労省から提出された(三)の検討事項(案)では,(1)イノベーションの評価(2)採算性に乏しい医薬品の評価(3)市場拡大再算定のあり方(4)後発医薬品の使用促進(5)その他(キット加算と有用性加算の関係,薬価頻回改定)─等が示され,議論が行われた.薬価改定頻度のあり方については,「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」からの報告を基に,本年秋以降,検討を進めることになった.
部会では,次回以降,製薬・卸業界からヒアリングを行いながら,検討事項に沿って平成二十年度薬価改定に向けた審議が進められることになる.
なお,同日は,総会も開催され,医療機器(区分C1:二件,C2:一件,A2:十七件,B:十六件)の保険適用が了承された.特にC2は,嚥下可能な内視鏡カプセルで,小腸粘膜の撮像を行う機能を有するものである.
また,平成十九年度医薬品価格調査ならびに特定保険医療材料価格調査を実施することも了承された.
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