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第1101号(平成19年7月20日) |
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滋賀県医師会長 浅野 定弘
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中国の古い格言に,「上医は国を医し,その次は病を医す」という有名な医和(春秋・戦国時代)の言葉があるが,まさに現在もそのような時ではないだろうか? 今では,医師が直接に政治に関与するのは容易でなく,専門家の立場で医療制度に提言していくことだと考える.
特に,新しい先端の医療技術を持って患者に対処している医師は,良質で安全な医療を提供すべく,大いに発言して欲しい.滋賀県医師会でも勤務医が半数以上を占め,その発言力は大きなウエートを占めている.
昨今の勤務医は,心身共に過酷な労働条件に疲弊し,病院を去る医師が少なくない.しかし,退場する前に,その実態を世間に声を大きくして知らしめることこそ,大切な使命と考える.個々の医師の発言では限度があるが,広報の仕方によって,非常に効果を発揮することがある.
特に,最近の日医の広報は有効であると定評があり,ぜひとも,それに学ぶべきである.TV等のマスメディアの利用は善悪の両面があるが,情報伝達の手段としては,最善の方法と考える.
今こそ,勤務医の劣悪な労働条件と,モチベーションを低下させる国の医療制度に対して,多くの勤務医の声なき声を医師会活動に反映させることが,国の医療を向上させ,患者に優しい,住みよい日本をつくるものと考える.
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