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第1104号(平成19年9月5日) |
中医協(8月8日)
診療報酬改定に向けた議論がスタート
中医協診療報酬基本問題小委員会ならびに総会が,八月八日,厚生労働省で開催された.
総会では,平成二十年度の診療報酬改定に向けた検討項目の例が議論のたたき台として示され,改定に関する議論がスタートした.
検討項目は,(一)より良い医療の提供を目指すための評価,(二)患者の視点の重視,(三)医療技術の適正な評価,(四)革新的新薬・医療機器等イノベーションの適切な評価と後発品の使用促進,(五)上記以外の重要項目─の五つがその柱となっている.
議論のなかでは,診療側委員から,「地域医療は崩壊の危機に瀕しており,診療報酬の引き下げは行わない」との建議書を中医協として事前に厚労大臣に提出してはどうかとの提案も出された.
今後は,前回の改定同様,今秋より個別項目について集中的な審議を開始し,十二月には厚労大臣に中医協としての意見を提出,来年一月には大臣から諮問が出され,二月中には診療報酬点数の改定案を答申する予定となっている.
基本小委では,池上直己診療報酬調査専門組織慢性期入院医療の包括評価分科会長から,「平成十八年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査報告書」の内容について,説明を受けた.
本調査は,平成十八年度診療報酬改定で療養病棟入院基本料等に導入された医療区分,ADL区分,認知機能障害加算に基づく患者分類を用いた評価手法等に関して,その妥当性を検証することを目的として,実施されたものである.
報告書では,平成十七年度に比較して,医療の必要性に応じた医療と介護の機能分担は進んでおり,医療区分とADL区分はおおむね妥当であるとしている.
ただ,「医療区分1・ADL区分3」,「医療区分3・ADL区分1」の患者一人一日当たりの費用がほぼ同額であるにもかかわらず,そのコストは,それぞれ八千八百五十円,一万七千四百円となっており,費用に見合ったコスト設定がなされていないことが明らかになった.
鈴木満常任理事は,今回の調査で医療療養病棟の多くが介護保険施設への転換を考えていないことが判明したことに言及.「医療療養病床の廃止を進めたとしても,その受け皿となるはずの介護施設の準備が進んでいないのは,この結果からも明白だ」と述べ,現状に対する理解を求めた.
また,基本小委では,DPCの今後の在り方についても議論が行われた.DPC導入の経緯や現状,医療機関別係数の設定の仕組み,特定共同指導で指摘される事項等についての説明があり,今後は,(一)対象病院数の拡大に伴う制度ならびにその運用の見直し,(二)医療機関別係数((1)新たな係数の導入(2)DPC制度の円滑導入のために設定された調整係数の廃止)─などについても,検討していくこととなった.
議論のなかでは,竹嶋康弘副会長が,DPCが民間病院にまで拡大された経緯の説明を求めたほか,鈴木常任理事は,「DPCに参加することが急性期病院のブランドのように言われているが,『DPCは急性期病院の要件ではない』ということの確認をしたい」と要求.土田武史中医協会長から,「DPCは急性期病院の一つの評価である」との回答を得た.さらに調整係数に関しては,「前年度の実績を保障するように設定されていることはおかしい」と,その問題点を指摘した.
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