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第1104号(平成19年9月5日) |
武見フェロー(2006〜2007)帰国報告会
2名の研究者が研究成果を報告
武見フェロー帰国報告会が,八月二十一日,日医会館で開かれた.
この日は,武見国際保健プログラムにより,二〇〇六年九月から〇七年六月まで,ハーバード大学公衆衛生大学院で研究活動を行ってきた武見フェロー二名が,唐澤人会長はじめ日医役員に,それぞれ研究成果を披露した.
近藤尚己氏(山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座)は,「わが国の所得格差の拡大が健康に与える影響」をテーマに,バブル崩壊前後における日本人の主観的健康度の格差調査を行った.バブル崩壊に伴う経済危機により,中〜高所得者層の男性の健康度が悪化したが,失業者は経済危機に関係なく,一貫して不健康であったことから,全体としては,所得による健康格差に縮小が見られたと報告した.
柳生文宏氏(東京大学大学院医学系研究科発達医科学教室)は,「ベトナムホーチミン市におけるHIV/AIDS治療施設利用の要因」について発表.地元のHIV/AIDS感染者に対して,治療施設利用状況などを調査し,NGOの治療施設利用頻度は,(ベトナム固有の)偏見,ARV(抗ウイルス薬)治療歴の有無,信仰する宗教,学歴などによって影響を受ける─などの報告があった.
その後,両氏の研究報告について,活発な質疑応答が行われた.
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