日医ニュース
日医ニュース目次 第1105号(平成19年9月20日)

日医定例記者会見

8月29日
厚生労働省「平成17年度国民医療費」について

 中川俊男常任理事は,厚生労働省が八月二十四日に公表した「平成十七年度国民医療費の概況」について,日医の見解を示した.
 同常任理事は,「二〇〇五年の国民医療費は三十三・一兆円で,伸び率は前年比プラス三・二%,二〇〇一年以降の平均ではプラス一・九%であった.また,二〇〇一年以降の,いわゆる『自然増』の平均は年二・七%であり,国民医療費で見ても,自然増が年三〜四%とする厚労省の見方は過大」と批判した.
 一人当たりの国民医療費については,七十五歳以上人口に占める八十五歳以上人口の比率が一年で〇・五ポイント上昇したなかで,七十五歳以上の医療費は,前年比マイナス〇・二%となっていることから,「特に,高齢者の受診抑制が現実化しているのではないか」と述べた.また,制度改革前,厚労省は,七十歳以上の一人当たりの国民医療費の伸び率を年三・二%として将来推計を行っていたが,実際には二〇〇一年以降,年〇・五%にとどまっており,実態と大きく乖離していると指摘した(図)
 さらに,傷病別の国民医療費では,「国は生活習慣病対策を重視しているが,一般診療医療費に占める生活習慣病の比率は,過去十年間ほぼ一定であり,医療費増加の主要因ではない.生活習慣病対策の重要性は認めるが,あまりに偏重した対策とならないよう警鐘を鳴らしたい」と述べた.
 また,財源別の国民医療費については,「老人医療給付費に対する公費負担割合が,二〇〇二年九月までは三割であったが,徐々に引き上げられ,二〇〇六年十月には五割になっている.一方,事業主負担は,この十年間で約四分の一から五分の一に低下した」と説明したうえで,事業主負担割合の見直しを求めていきたいとした.日医定例記者会見/8月29日/厚生労働省「平成17年度国民医療費」について(図)

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