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第1105号(平成19年9月20日) |
中医協(8月29日)
今後のDPCのあり方について議論
中医協診療報酬基本問題小委員会が,八月二十九日,都内で開催され,前回に引き続き,今後のDPCの在り方について議論が行われた.
当日の中医協事務局の説明によると,平成十九年七月の調査対象病院の拡大募集に対し,約七百の病院が手を挙げたことにより,DPC関連病院は千四百三十三病院(DPC対象病院:三百六十,準備病院:千七十三),四十五万七千六百九十一床となり,一般病床九十万四千百九十九床のうち,実に五〇・六%を占めるに至っている.また,調整係数も最大値一・二二七四から最小値〇・八〇一九までと格差があり,総合病院から専門病院まで幅広くDPCの対象となっていることが分かった.
加えて,DPCを導入するためには,「看護配置基準十対一以上であること」などの三つの必須要件のほかに,「特定集中治療室管理料を算定していること」「救命救急入院料を算定していること」など,五つの基準を満たすことが望ましいとされているが,質を担保するために設定されたこの五つの基準が,調整係数との相関データなどから,必ずしも高度な医療の提供に結び付いていないことも報告された.
今回の報告を受けて,鈴木満常任理事は,「現在のDPCの対象病院,準備病院は玉石混交となっていることが分かった」とし,それらを選別することが必要になるのではないかとの考えを示した.また,「平成十四年度のマイナス改定以降,病院経営は逼迫しており,高い点数設定となっているDPCに頼らざるを得ない状況にある.経営の合理化で病院にインパクトを与えることは終焉にすべきだ」と述べたほか,診断群分類の決定が不適切な病院に対してはペナルティーを課すといった新たなルール作りの必要性についても言及した.
竹嶋康弘副会長も,「二百床以下の準備病院が増えるなど,七対一入院基本料と同様に当初の目的と違った動きになっている.望ましい五つの要件を今後どのようにすべきか改めて考えるべき」と指摘した.
議論の結果を踏まえて,土田武史委員長から,「DPCの対象病院の急激な拡大に伴ってさまざまな問題が起きており,制度運用に関して専門的な検証が必要と考えている.DPC評価分科会で専門的な検討をしてもらってから改めて議論したい」との提案が出され,診療,支払両側もこれを了承することとなった.
なお,同日開催された総会では,医療機器の保険適用(四十件),臨床検査の保険適用(四件),先進医療専門家会議の報告(一件)について審議を行い,中医協としてこれらを承認したほか,「社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」の審議状況について説明があった.
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