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第1105号(平成19年9月20日) |
修学旅行分散研修
その電話は突然きた.可愛い女子の声で,「今度,修学旅行で東京に行くので会えますか?」
「でもどうして? ここに来るの?」
そして,忙しさに紛れ,内容の把握も出来ぬままに忘れかけていたころ,関西の中学校の先生と生徒から,連名のFAXがきた.修学旅行分散研修の一環で“二十年後の自分に会おう”なる企画らしい.今更お断りできない.未来の女性医師たちが,はるばる会いに来てくれるのに.どのように対応したら良いのか,悩む間もなく約束の日がきた.
約束の時間より早く,制服姿の水蜜桃のような少女たちが待合室に登場.優しい笑顔を心掛けて,彼女たちからインタビューを受けた.「最近,産科医師が少なくて,産科崩壊などと言われていますが,その実感はありますか?」など,タイムリーな質問が続出.あっと思う間に名残惜しい時間が過ぎた.再会を約束した.
最近,フリーターなる若者が,子宮外妊娠や,重症悪阻・脱水症状で来院.「今は医療費を払えない」とか.これからの日本の未来はどうなるのだろうと暗い気持ちになっていた.
“二十年後の自分を見つめて”しっかり歩いていく中学生に会う機会をいただき,その後ろに,指導している素晴らしい先生方を感じた.
そして,お礼状がきた.先生からは,「“夢は必ず叶うもの”と信じて二十一世紀を歩んで行くように諭します」少女たちからは,「たくさんの笑顔の写真が届いている理由が分かりました」「自分の目標が出来ました」など.“明るく輝かしい二十一世紀”に会えて,胸が熱くなった.
「ありがとう」
(蘭)
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