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第1105号(平成19年9月20日) |
沖縄県医師会長 宮城 信雄
新医師臨床研修制度を契機に,医師不足がクローズアップされてきた.国は,地域や科の偏在は認めたものの,いまだ医師不足とは認めたがらない.
日本の医師数は,人口比でOECD加盟国平均の三分の二しかない.十万人ほど増やさないと,加盟国並みにはならない.国は医師不足解消のために,医学部定員を増やすとしている.しかし,彼らが一人前になるのは十年後であり,医師国家試験の合格率を数%アップするほうが,余程実効性があるだろう.高い合格率であった時代の医療に,特に問題が生じたとは思われない.
医師数は,毎年数千人増加し続けている.しかし,病院の勤務医は,それほど増加はしていない.医師不足は,勤務医の不足である.
過酷な勤務の割に評価をされない勤務医,特に公的病院の医師が退職し,病院の縮小や廃院が続出している.予測できない医療に,結果責任論を持ち込み,場合によっては逮捕される状況下では,リスクを負う診療から遠ざかるのは当然だ.
長年にわたる医療費抑制政策のなかで,病院経営も困難を極めている.勤務医にも,そのしわ寄せが来ている.
沖縄県医師会の会員二千百八十三人中千四百八十九人が勤務医で,半数をはるかに超えている.国の医療費抑制政策を改めさせるには,開業,勤務を問わず,全会員が一致団結して,強力に運動を展開していくべきである.
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