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第1106号(平成19年10月5日) |
社会保障審議会医療保険部会(9月20日)
「主治医」のあり方とその評価をめぐり議論
社会保障審議会医療保険部会が,九月二十日,厚生労働省で開催され,(一)後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(案)(たたき台),(二)平成二十年度の診療報酬改定に向けた検討,(三)平成二十年度予算概算要求─について議論が行われた.
(一)については,医療部会と同様,「主治医」のあり方とその評価のあり方に,議論が集中した.委員からは,「主治医を診療報酬上,評価するとして,患者が,主治医を一人に決められるのか」との疑問が出された.また,総合的に診る医師の教育,育成について意見があったが,鈴木満常任理事は,「総合的に診る医師の育成こそ,日医がやらなくてはならないと考え,現在,カリキュラムの作成等を行っている」と述べた.
(二)について,初めに医療課長より検討事項についての説明があった.鈴木常任理事は,検討事項におおむね理解を示す一方,近年の勤務医の文書作成等の事務量が膨大となっている現状を説明し,勤務医の負担軽減策に期待を示した.加えて,そのために医療秘書等を置くなどの対応をした場合に必要な財源の試算結果も紹介した.
(三)について,事務局は,「これまで患者負担の引き上げをお願いしてきて,診療報酬はネットで三回連続マイナス改定を行った.これ以上の患者負担は望めない」と説明.そのうえで,「国家財政が極めて厳しい状況の下,国庫補助による格差解消は限界」とし,サラリーマン相互の助け合いを強化する方策として,六十五歳未満の医療費について,被用者保険間で財政調整を行うことが考えられるとし,それにより,年間二千二百億円の国庫負担が削減できるとの試算を示した.
鈴木常任理事は,最新のOECDヘルスデータによると,一人当たり医療費は,三十加盟国中十六位,総医療費のGDP比では二十二位と,すでに低い水準に抑えられており,日本の医療が危機に瀕している現状であることを示した.
なお,(一)に関する各委員の意見は,部会長から,社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会に報告することとし,(二)および(三)については,継続して審議が行われることとなった.
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