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第1107号(平成19年10月20日) |
9月26日
福田新内閣の発足に当たって
日医は,九月二十五日に福田康夫自民党総裁が第九十一代首相に選出され,同日夜の組閣を経て,二十六日に福田新内閣が正式に発足したことに対する見解を発表した.
唐澤人会長は,会見で,就任した閣僚に祝意を表したうえで,次のように述べた.
「厚生労働関係のみでなく,どの分野においても,社会が大きく変わろうとしているなか,閣僚の方々には大変な責任と重圧があろう.しかし,どの分野においても,国民の視点に立った政策の立案,実現を心から期待しているというのが率直な心境である.
また,退任された安倍前総理には,国民の一人として,また一人の医師として,一日も早いご快復を心からお祈り申し上げる.
福田総理は,二十五日の記者会見で,新内閣を自ら“背水の陣内閣”と称しているが,その言葉の裏には,並々ならぬ決意があるものと拝察する.
福田総理は,自民党総裁選挙に際し,構造改革の必要性と成果を認識しつつ,総裁就任記者会見では,先の参議院選挙の結果を真摯に受け止め,自民党が国民の信頼を回復するために,『一つひとつ着実に,誠実に政策を実行する政党に生まれ変わるしかない』と決意を述べている.
自民党幹部人事においても派閥の領袖を登用したことに対し,一部報道では,『古い自民党に逆戻りするのではないか』との指摘もあるようだが,これも構造改革推進のなかで失われたものを回復するため,実力者を置いて挙党体制を敷くという意志の表れではなかろうか.
殊に,誠実な政策を実行するという言葉を裏付けるかのように,自民・公明両党は,七十〜七十四歳の一部負担二割引き上げ,また,後期高齢者医療制度における七十五歳以上の保険料負担,障害者自立支援法に基づく利用者の一割負担導入など,来年度から実施される予定の医療・福祉分野での“改革”について,一部凍結を検討することで意見の一致を見たと報道されている.
これらは,格差社会の拡大に対する歯止めであると同時に,国民の生命と生活を保障する“社会保障”のあるべき姿を再確認する良い機会でもあると考える.
今後は,財源の捻出を含め,厳しい議論が与党内でも行われると思うが,日医は,“医療制度改革”によって,医療や介護を必要とする高齢の方々が直接被るであろう大きな負担に配慮した,この提案について,その英断を高く評価したい.
また,医療における地域格差や,地域医療の崩壊を食い止めるためにも,これらの対応と合わせて,来年度の診療報酬改定の財源確保に当たる福田新内閣に対し,強く期待したい.
日医としても,その実現に向けて,さらに精力的に働き掛けていきたいと考えている」
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