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第1107号(平成19年10月20日) |
中医協(10月3・5日)
小児医療・産科医療・がん対策の推進に関する評価見直しへ
中医協診療報酬基本問題小委員会・薬価専門部会が十月三日に厚生労働省で,基本問題小委員会が五日に都内で,それぞれ開催された.九月二十七日で中医協委員の任期が満了となったことに伴い,飯沼雅朗常任理事に代わり,中川俊男常任理事が新たに委員に就任した.
三日の基本問題小委員会では,「七対一入院基本料」と「小児医療」についての検討が行われた.
「七対一入院基本料」では,本年一月に中医協から提出された建議書を受けて,厚労省が実施した,「急性期入院医療における看護職員配置と看護必要度に関する実態調査」結果を示した.ハイケアユニット入院医療管理料で用いる評価票による患者の「重症度・看護必要度」を指標として,看護配置基準別(七対一,十対一,十三対一)に看護必要度の調査を行ったものであるが,今回の評価票は,急性期一般病棟で通常実施されている治療や処置等が考慮されていないと推測されることから,よりきめ細かい調査を基に指標を見直し,再度検討することとなった.
鈴木満常任理事は,厚労省が示した資料から,七対一入院基本料導入の影響により,百六十五病院,一万八千百十一病床が減少し,地域で住民が医療を受けられなくなっていると指摘,懸念を示した.また,特定機能病院については,これ以上七対一を算定しないよう,実態に即した形で対応すべきと発言した.
竹嶋康弘副会長は,高度医療の提供等,特定機能病院本来の要件を示し,特定機能病院と一般病院が,同じ扱いでよいのか,再考する必要があると強く主張した.
「小児医療」では,小児入院医療管理料について,医療上の必要性から,実際に現行の施設基準以上の人員が配置されている施設に対する評価を行うことが提案された.
竹嶋副会長は,小児は状態が変化しやすい特徴があるので,小児専門病院に偏重することなく,そこに行く前の初期外来医療への対応も併せて議論すべきではないかと要望した.
同日の薬価専門部会では,薬価算定に関して,小児・希少疾病など,採算性に乏しい医薬品の評価について,小児加算や市場性加算の要件見直しの検討が行われた.部会としては,小児・希少疾病薬にかかる加算について前向きな検討を望む声が多く,おおむね一致した意見となった.
五日の診療報酬基本問題小委員会では,「産科医療」と「がん対策の推進」に関して,平成二十年度改定に向けた協議が行われた.
「産科医療」については,(一)ハイリスク分娩管理加算の対象の拡大,(二)緊急の母胎搬送の受け入れ評価,(三)ハイリスク分娩管理加算の対象患者と,分娩監視装置による諸検査やノンストレステスト等の対象患者の整合を図る―の三点を論点に協議した.
竹嶋副会長は,中核となる総合周産期母子医療センター等が,周辺施設における分娩取り扱いの減少により,正常分娩についても受け入れざるを得ないため,限界以上の分娩件数をこなしている事例を紹介したうえで,「分娩がどこでも受け入れられるような体制がまず必要だ」と主張.さらに,「二十〜四十歳代の産婦人科医の六割を超える女性医師に対する支援等の評価も必要」と述べた.
一方,鈴木常任理事は,産科医療は訴訟リスクも高いなど,診療報酬上の評価だけでは対応し切れない問題があることを,共通認識として持つことが必要であると強調した.
議論の結果,安心できる産科医療の実現のために,評価を拡充する方向で検討を進めることになった.
「がん対策の推進」については,(一)放射線療法・化学療法,(二)緩和ケア,(三)がん診療連携拠点病院の機能強化,(四)リンパ浮腫の治療―の四点に対する評価のあり方について検討した.
(一)について,鈴木常任理事は,例えば認定看護師を評価するような新たな外来化学療法は不要であり,まずは実施施設を増やしていくなど,確かなところから対応すべきと主張した.
(三)では,二百八十六カ所ある,がん診療連携拠点病院の相談支援センターの充実や集学的治療の実施といった機能強化に併せた適切な評価・見直しについて議論された.
竹嶋副会長は,指定要件そのものの見直しが必要であるが,地域間格差を念頭に置いて,はざまの部分が出ないよう,“地域医療機関との連携”をキーワードに対応して欲しいと要望した.
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