日医ニュース
日医ニュース目次 第1108号(平成19年11月5日)

日医定例記者会見

10月10日
診療所開設者の年収は必ずしも高くない

 中川俊男常任理事は,日医が実施した「診療所開設者の年収に関する調査」(二〇〇六年分)の結果を公表した.
 従来から,中医協の医療経済実態調査の個人立診療所の収支差額を根拠として,個人立診療所開設者の所得が不相当に高いといった論調がある.今回の調査は,個人立診療所開設者の所得を勤務医師と適切に比較することによって,その論調を検証するために実施したものである.
 調査は急を要することもあり,北海道札幌市,東京都板橋区,山口県,鹿児島県に地域を限定し,個人立診療所の開設者を対象として行われ,有効回答数は,五百三十七(有効回答率三五・一%)であった.
 それによると,個人立診療所の開設者の年収を,勤務医師やサラリーマンと比較可能なように「手取り年収」で試算したところ,平均で千七十万円,最も高い五十五〜五十九歳でも千四百七十万円であり,平均値は,中小企業の経営者などと,ほぼ同額であることが分かった.また,四十五〜四十九歳で比較してみると,個人立診療所開設者と勤務医師の「手取り年収」は,それぞれ千百六十万円と千百万円で,ほぼ同じとなっていた.
 同常任理事は,個人立診療所の開設者は,地域におけるさまざまな社会的役割を担っているうえに,事業者としてのリスクや負債を抱えながら経営を続けていることを強調.「これらを考慮に入れれば,個人立診療所の開設者の所得が,必ずしも高いとは言えないことが,今回の調査で明らかになったのではないか」との考えを示した.

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