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第1109号(平成19年11月20日) |
10月24日
経済財政諮問会議資料「給付と負担の選択肢」に対する日医の見解を説明
経済財政諮問会議が,十月十七日に開催され,「社会保障制度と財源のあり方(社会保障と税)」について,議論が行われた.
民間議員からは,「給付と負担の選択肢について」という資料が出され,将来の給付と負担に関する中長期の社会保障の選択肢が提示されたが,そのなかで,「現在の給付水準を維持し,負担が上昇したケースでは,二〇二五年度の六十五歳以上の一人当たりの医療給付費が七十七万円になる」という試算結果を示していることについて,中川俊男常任理事は,現時点における日医の見解を説明した.
同常任理事は,諮問会議が示した資料で,当該ケースについての一人当たりの医療給付費の伸びを年一・七%としていることを問題視.最近の一人当たり医療費の伸びは一%以下であり,二〇〇五年度には前年比マイナスの伸びになっていることを説明したうえで,一人当たり医療費の伸び率を平均〇・九%(マイナス改定年を除いた伸びの平均値)として推計してみると,二〇二五年度の一人当たり医療給付費は六十八万円になると指摘.
この結果を踏まえて,同常任理事は,「医療費推計というものは,その前提次第で大きく変わるものであり,その前提自体も常に変化することを理解したうえで,このような試算結果は示されるべきである」と主張した.
また,二〇〇八年度の六十五歳以上の医療給付費について,二〇〇六年度の医療制度改革開始時点では十五・三兆円と見込まれていたものが,最近の資料では十六・一兆円〜十六・四兆円と見込まれていることにも言及.わずか一年の間に約一兆円も上方修正されているが,直近の一人当たり医療費の伸びを見ても前年比ではマイナスになっており,上方修正すべき要因はないと批判した.
一方,諮問会議の民間議員が行った試算の方法として,上記提出資料の「経済財政の想定」のなかで,歳出項目の医療・介護について,「一人当たり医療・介護給付額が診療報酬や介護報酬の伸び,所得の上昇等を反映して,これまでと同様に増加することを想定」とあることに関しては,「診療報酬の引き上げも考慮し,想定しているのであれば,日医としては評価する」と述べた.
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