日医ニュース
日医ニュース目次 第1109号(平成19年11月20日)

特定健診・特定保健指導(8)
実施にむけての課題

 特定健診・特定保健指導が始まる平成二十年四月までいよいよ五カ月を切った.今回,各地域での進捗状況を把握するため,都道府県医師会と郡市区医師会にご協力いただき,アンケート調査を実施した.調査結果についてはできるだけ早く報告する予定でいるが,今回の制度改正についての理解と取り組みの状況はさまざまのようである.
 今回の特定健診における実施形態としては,その後の特定保健指導の成果を上げることを考えると,従来,集団健診で実施されていた地域においても,個別方式で実施されることが望まれる.また,生活習慣病にターゲットを絞り,メタボリックシンドロームの概念が導入されているが,その他の疾病も含めた予防や早期発見の視点からは,貧血検査や心電図,胸部レントゲン検査等はぜひとも上乗せで実施する必要があり,また各種がん検診や骨粗鬆症検診,肝炎検診等の実施と併せて,各検診の受診率向上も重要な課題と考えている.今回の改正で,特定健診項目さえ実施すればよいとの考えが行政の一部にはあると聞くが,健診項目と同様に費用についてもできるだけ受診者の負担を軽減していただく方向で,地域医師会として行政に対する説明と折衝をぜひともお願いしたい.
 これらの健診は受診者の利便性と受診率向上を考えれば,介護保険の生活機能評価も含めて同一日時,同一場所で実施されることが望まれる.厚生労働省作成の「特定健康診査,特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」によれば,健診実施時期に期限を設けて,保健指導の初回面接を年度内に完了する必要があるとされているが,健診の実施体制や受診者の立場を考えると,誕生月を中心とした通年にわたる実施体制が望まれる.さもなければ,季節による受診者数の変動が大きく,一時期に集中し,医療機関を中心に健診機関の業務負担が偏ってしまう.
 また,特定健診・特定保健指導は電磁的な記録媒体による健診等データと請求データの提出が義務づけられている.日医としても,これに対応できない医療機関の存在を前提とした代行入力業務に関し,だれが,いつ,どこで対応するのかや,その業務に関する費用負担の考え方について検討を行っている.上乗せ横出しの健診については,従来の紙ベースの対応で実施することになると考えている.いずれにしても,今後各地域で医師会と保険者や行政との折衝が重要となるため,日医としては,年内に連絡協議会を開催するとともに,都道府県・郡市区医師会へ電子化の対応について調査を依頼しているので協力いただきたい.

(常任理事・内田健夫)

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