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第1111号(平成19年12月20日) |
「笑いと危機回避」
ワッハッハからウフフまで「笑いは百薬の長」「笑う門には福来る」と言われる笑いは,本来,危機から脱出した時の安心,安堵,幸福感の表現が始まりだそうだ.
ヒトは危機・恐怖に会うと,恐怖に対処するためにアドレナリン,ノルアドレナリン,ドーパミンなどのストレス対抗ホルモンが出る.これが交感神経に働いて,大量出血しないように血管が細くなり,心拍数を上げ,分泌抑制が起き,血液は止血しやすいようにドロドロになり,体中が戦闘モードに入る.危機・恐怖が去った後,本来は毒性を持つストレス対抗ホルモンが,体内から早く消失するように,エネルギーの昇華が必要になり,笑いの衝動が起こる.
笑いのエネルギーは,癒しのホルモン,セロトニンによって副交感神経に働き,血流が良くなり,リラックスモードに入る.笑いによって作り出されたホルモン,エンドロフィンは脳内麻薬の作用を持つ.
笑いは,バランス良く脳を活性化させながら,リラックスさせる効果があり,糖尿病患者の血糖値を下げ,免疫力を高め,関節リウマチの痛みを改善すると言われる.
しかし,笑いは,安堵,幸福感の記憶に基づくもので,幼いころからストレスにさらされ,長期の戦争,家庭内暴力など,争い事の記憶ばかりが強いと,笑う事,笑い方を忘れてしまうそうだ.これは大人の責任であり怖い.
危機に会わずとも,自らも幸せで笑い,周りの人へも笑いの輪を広げたいものである.
(熊)
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