日医ニュース
日医ニュース目次 第1115号(平成20年2月20日)

日医定例記者会見

1月23日
「診療所治療費未払い実態調査」の概要を報告

日医定例記者会見/1月23日/「診療所治療費未払い実態調査」の概要を報告(写真) 今村聡常任理事は,「診療所治療費未払い実態調査」の概要を公表した.
 本調査は,全国の医師会に対して事前に行った予備調査から,未収金に対する問題意識を持っていることや,地域性などを考慮して選定した全国十一の郡市区医師会の会員診療所に調査票を配布してアンケートへの協力を依頼したもので,九百十六の診療所から回答を得た(回収率五四・〇%).
 調査の結果,未収金の額は,診療所では病院ほど多くはなく,無床診療所よりも有床診療所の方が多い,また,分娩を取り扱っている診療所,救急対応をしている診療所の方が多いことが明らかになった.
 診療科別に見ると,産婦人科,外科での未収金が多く,客体数は少ないが,泌尿器科でも未収金が多い.また,未払い患者一人当たりの未払い額は,外科が一万五千円前後で最も高かった.
 未払いが発生する原因として,「所持金不足」「経済的理由」と感じている診療所が約七〇%を占めているとの調査結果について,同常任理事は,医療費の窓口一部負担金の増加が大きく影響しているとし,「患者さんの負担を減らすよう,今後も,日医から強く要望していく」と述べた.一方で,診療所の一三%が主原因とした「支払う意志がない」患者にどう対応するかも,今後の課題であるとした.
 未収金の回収業務について(複数回答)は,診療所側でも「口頭」(七〇・三%),「電話」(六四・〇%),「書面」(四〇・八%)による催促を行っているとし,特に,未収件数の多い精神科,未収金額の多い外科,産婦人科などでは,書面による催促を行っており,回収に努めている実態が明らかとなった.
 また,同常任理事は同日の会見で,TKC全国会「医業・会計システム研究会」の情報提供により作成した「診療所の窓口未収金実態調査」の分析についても紹介(http://www.clinic.tkcnf.or.jp/b/b02/b0264.html).日医の調査と同じように,有床診療所,産婦人科,外科での未収金が多いことから,「今回の調査は,診療所の未収金の実態を的確に表しているのではないか」と述べた.
 なお,今後は,厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」での議論も踏まえて,対応していきたいと述べた.

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