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第1117号(平成20年3月20日) |
「国際共同治験推進会議 in Hamamatsu」を開催して
去る一月二十六日(土),国際共同治験推進会議を浜松市内で開催した.
治験促進センターは同規模の会議を毎年一回開催しており,今回が四回目となる.医師,治験コーディネーター(以下,CRC)をはじめとする医療関係者のほか,製薬企業など五百名を超える治験関係者が参加した.浜松市で開催した理由は,もともと浜松が臨床薬理学の発生の地とも言われる所であり,また,実行委員長を浜松医科大学の渡邉裕司教授にお願いしたことによる.当初は,どれくらいの人数が参加してくれるのか不安もあったが,結果的には大盛況となり,今回取り上げたテーマが,今のわが国にとって重要であることが裏付けられた.
会議の第一部は,「国際共同治験の現状と課題」として医療機関,製薬企業などから六題の発表があった.重複する内容もあったが,それは取り上げられた話がそれだけ重要であることの裏返しと言える.第二部の「アジア諸国の取り組み」では,韓国および台湾から演者を迎え,各国の現状および取り組みを聞いた.特に,海外のCRCの発表を聞く機会はあまりないので,貴重な時間となった.第三部では総合討論が行われた.計五時間に及ぶ会議の結論は,「問題点の抽出はもういいだろう.まず国際共同治験を実際にやってみることが重要だ」であった.
わが国で新しい医薬品を使える時期が,世界初承認から約四年,また,米国承認から約二年半遅れているという状況をご存知だろうか.海外ですでに使われている薬が,目の前にいる患者には数年間も使えない状況をいかに早く改善していくのか.その改善を製薬企業や厚生労働省にだけ任せておけばよいものでは,決してない.治験の意義を医療機関全体で正しく理解し,それを患者やその家族にも正しく伝え,そのうえで正しい方法で治験を行うことに取り組んでもらいたい.忙しいなか,治験というと,やっかいなものと思われるかも知れないが,新薬を世に出すことに協力することの重要性を,ぜひご理解願いたい.
さて,熱い会議の終了後,情報交換会が盛会裏に行われ,皆治験の話に花を咲かせた.一番驚いたことは,「こんな会議を日医がやってくれた!」というお褒めの言葉であった.当日の会場の医師のほとんどが勤務医(医師会員かどうかは不明)であることを考えると,感慨ひとしおであった.
(常任理事・飯沼雅朗)
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