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第1118号(平成20年4月5日) |
都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会
平成20年度診療報酬改定の概要を説明

都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会が,平成二十年度の診療報酬改定の概要を説明するとともに,その内容を伝達することを目的として,三月五日,日医会館大講堂で開催された.
冒頭,唐澤 人会長に代わってあいさつした宝住与一副会長は,今回の改定を振り返って,「八年ぶりに本体のプラス改定が実現したが,その改定率は限りなくゼロに近いものであり,医療崩壊の危機を抜本的に救う額には至っていない」と,その低さを改めて指摘.「改定率の決定に当たっては,社会保障費国庫負担分のシーリング二千二百億円が大きな障壁になった」と述べ,来年度も課せられるシーリングの見直しを早急に行う必要があるとの考えを示した.
また,病院勤務医支援のための財源捻出策として,「後期高齢者の外来管理加算の病診統一等」「デジタル映像化処理加算の廃止(経過措置付き)」等を受け入れたことに関しては,「地域医療を担う診療所と病院は医療提供の両輪であり,病院勤務医の過重労働を解消することが,今回の改定における喫緊の課題と考えていた」と,理由を説明.「今回の選択は国民のため,地域医療を支えるための苦渋の選択であった」として,その選択への理解を求めた.
さらに,今後,社会保障は“平時の安全保障”と位置づける日医の理念の普及を図るとともに,あるべき医療費財源の確保に向けた活動を積極的に展開していくとした.
つづいて,保険担当の鈴木満常任理事より,中医協で答申が取りまとめられるまでの経緯と個々の改定項目についての詳細な説明が行われた.
鈴木常任理事は,今回の改定の大きな特徴としては,(一)改定率を与党で決定し,その結果を政府が了承したこと,(二)昨年十一月に中医協が取りまとめた意見書のなかに,「診療報酬の本体部分については,さらなるマイナス改定を行う状況にはない」との文言が盛りまれたこと,(三)改定財源を,健康保険組合連合会による政府管掌健康保険への支援の受け入れや薬価の引き下げ等によって捻出したこと―の三点が挙げられると指摘.
医療機関への影響については,大病院で収入増が見込まれるほか,当初はその対応が不十分であった中小病院に関しても,十対一入院基本料や再診料の引き上げによって,その改善が図られたと説明.一方,診療所については,本来受け取るべき四百億円もの財源が,病院に振り向けられることで収入減になると言われているが,後期高齢者関連の新点数や夜間・早朝等加算などで対応して欲しいと要望した.
また,次期改定に向けては,病院と診療所のあり方,入院と外来のあり方をしっかりと議論し,医療費の適正な配分の仕方を考えていくことが大きな課題になると指摘した.
なお,改定の参考資料は,都道府県医師会を通じて配布するとともに,関連資料を随時,日医ホームページのメンバーズルーム(※要・会員専用アカウント)に掲載するので,参照されたい.
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